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ソナタ・ファンタジー【ピアノソナタ第1番】(カプースチン) [カプースチン]

その男は、疲れていた。
今日も、仕事が終わり、会社から自宅に帰る。
いつものように、各駅停車の電車に座って、
IPODの中のクラシック音楽を聴きながら、ぐっすり寝ていた。
そう、これが、月曜から金曜の、いつもの日課だ。
おっと、降りる駅を寝過ごしそうだ。
その男は、電車を降り、改札に向かった。
改札を出てからのルートも だいたい、いつも決まっている。
右側のエスカレータを上がり、3階まで上がる
そこは、本屋だ。
そこで、好きな本を見る。たまには、買う。
あまり疲れていると、その隣のコーヒー屋で一休み。そこで、編曲なんかもしている。
そして、2階に下りると、CD屋だ。ここには、少しだが、クラシックの楽譜も置いてある。
パラパラと譜面をめくり、ああ、こんな曲もおもしろそうだ と想像する。
そして、おもむろに、自宅に歩いて帰る。
明日も、仕事だ。

さて、上記は、ある男の会社帰りの風景です。
実は、その男は、会社帰りに、本屋とCD屋を見て、コーヒー飲んで帰るのが日課なのです。
で、今日は、そのCD屋においてあったピアノの楽譜の曲です。

だいたい、ピアノの楽譜というと、楽譜専門店でもない限り、普通の楽器屋には
昔は、ハノンやチェルニーの練習曲
バッハ・モーツァルト・ベートーベン・ショパン・シューマン・リストあたりの有名曲集
程度しか置いてなかったような気がする。
でも、最近は、結構マイナーな作品まで置いてあるのに驚きだ。
クララ・シューマン、ゴドフスキー、レーガー 等々
いったい、誰が買うのだろう?
で、最近、ロシアの作曲家カプースチンの楽譜も結構、置いてある。
しかし、この曲達、難しすぎて普通のピアノが趣味程度の人達には、歯が立たない。
この楽譜もいったい、どのくらい売れているのかなあ・・・
なんて、考えている。

さて、今日の音楽日記は、カプースチン作曲のピアノ曲
ソナタ・ファンタジー【ピアノソナタ第1番】です。

カプースチンは、1937年生まれのロシアの作曲家で、自身、すぐれたピアニストです。
ジャズ・オーケストラにいたこともあるらしく、
その作風は、ジャズと密接な関係を持っている
そして、自身がピアニストのせいなのか、高度なテクニックのピアノ曲が多い。

さて、今日のソナタ・ファンタジーです。
この曲、
 第1楽章ヴィヴァーチェ
 第2楽章ラルゴ
 第3楽章スケルツォ
 第4楽章アレグロ・モルト
の4楽章からなり、これだけみると、普通のピアノソナタ?と思うのだけど、
一回、音楽を聴いてもらいたい。
もちろん、ジャズに影響を受けたという音楽ではあるのだけど、
音の動きは、独特だし、そのピアノ技巧と独特なリズムは、他とは全然違う。
すごく新鮮な気がします。
特ら、このソナタの真骨頂だと思うのですが、第4楽章を聞いてみてください。
冒頭の分厚い和音に続く、華麗なジャズ風なピアノの音の流れ、そして、
最後の方のかっこよさ。
いやいや、この楽章、最後まで、一気に聞かせてくれます。

こういうピアノ曲の楽譜だけど、見ているだけで楽しい。
カプースチンの楽譜は、かなり緻密に書かれているけど、
ただ、譜面どおり弾いても、面白くないところもある。
カプースチンは、自分でもCD録音があるけど、すごいです。

ただ、この曲、ちょっと息苦しいのはなぜ?
まったく息が抜けない曲というのも、ちょっとだけ疲れる
ただ、そう感じるのは、歳をとったからかも知れない(笑)

ちなみに、私、この曲の譜面買いました。
もちろん、弾けません、ながめて 楽しんでます ハイ
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みどりの巨人ハルクくん

ぞぉぉ・・・ななんとなんと、最寄り駅が私と同じですか(汗)。
私の方は、正確には東にもうひと駅が最寄りなのですが、
西に東にひと駅歩くことで運賃が節約できるので、西へ下る時には
そちらの駅を利用しています。

世の中広いようで狭っ!  ン? だが待てよ、「いつも各駅停車」って、
私と同じ駅なら急行が止まるはずだけれど・・・

そのシンセ移動にマニアックなピアノ楽譜が置いてあるのは、
ひとえにお向かいの毛偉大ピアノサークルの学生(Pヲタ)の
需要があるからでしょう。
あの渋柿色スコアも、その手の人たちが関わって作られているようだし。

でも近年の国内版楽譜の出方(選曲)は、おかしいと思います。
大手は早いとこプロコフィエフの第3ピアノ協奏曲のスコアを
出したらどうなのかと思います。

さて、カプースチンについてはひと言ふた言申し上げたいこともありますが、
この男も大変疲れています。

このところひどい寝不足で(ネットのせいだ!)ハードスケジュールもあり、
今やっと解放されました。

また後日。おやすみなさい zzzzz
by みどりの巨人ハルクくん (2010-12-21 01:41) 

みどりのこびとちゃん

ハルクさん、コメントありがとうございます。
世の中狭いです。
ちなみに、急行でも止まる駅ですが、
私、すいている電車で座って帰るのが好きなのです。

プロコのピアノ協奏曲のスコア
なぜかマイナーな第4番は、出てますね(笑)
by みどりのこびとちゃん (2010-12-21 23:53) 

みどりの巨人ハルクくん

よく寝ました。おはようございます。お隣さん。

プロコP協4は、ヴィトゲンシュタインのせいでずっと未出版だったらしいから、
あの善怨の刊行が世界初出版だったのかなあ。
それはそれで意義があるけれど、
他にいろんなオケ組曲のが出てて、明らかにマイナーなものも。
遠い外堀ばかり固めていて、一向に痒い所に手が届かないように感じてます。
他の作曲家ではシャブリエの聞いたこともない宗教曲なんかも
(これこそ一体全体どこに需要が?)。
どういう刊行企画の意図なのか解りかねます。

カプースチンですが、この作曲家を日本のマスコミで初めて紹介したのは
私だと自負しております。
十年前、今はなき某音楽誌に、このカプースチンを個人輸入した一アマチュア
(この人こそ日本におけるカプースチン受容の大元です。ご存知と思いますが)
への取材記事が載りましたが、私が編集長にその企画を勧め、
同じ号の新譜CD評でカプースチンのCDを取り上げました。
「カプースチンを知っていますか?」というCD評の書き出しが、
編集部の記事とかぶってしまい、変更を求められました(常套的ですね)。
まあ、自分が初めてだと思っているだけかもしれませんが、
そのCDが今はなき渋谷のHMVの試聴コーナーに陳列された時、
その号も並べて置かれていたので、他にはなかったのかなと。

けれど私は、ほどなくしてカプースチンに飽きてしまいました。
今年、旧友を訪ねるために、その友が出演する「カプースチンの祭典」の演奏会に出かけ(主催は例の家元)、偉大なアマチュアたちの演奏で
本当に久しぶりにカプースチンをたっぷり聴きましたが、
熱は戻ってこなかったです。
カプースチンは、現代音楽では全く稀少な、クラシックの音楽史に
残り得る真に価値ある作曲家である、とは認識していますが、
新しいものを発見したという以上の思い入れは、今のところ
私にはないようです。

「息苦しい」・・・もしかしたら、住んでいる場所だけでなく、
カプースチンの音楽に対する感じ方も、こびとさんと共通しているのかもしれません。

by みどりの巨人ハルクくん (2010-12-22 01:11) 

みどりのこびとちゃん

ハルクさん、再コメントありがとうございます。

コメントの中にあるシャブリエの曲、実は、私も、
いったいこのスコア って、誰が買うんだろう?
と思っていた人の一人です。

カプースチンの音楽、最初にマスコミで紹介されたとは、
先見の明があります。
確かに 最近のはやり言葉で言うと、
なにか持っている 作曲家だと思います。

「息苦しい」・・・そうなのです。
誰も、カプースチンの曲をこんな風にいわないので、
どうかとも思ったのですが、
今の私の正直な感想です。




by みどりのこびとちゃん (2010-12-23 15:20) 

みどりの巨人ハルクくん

今日で渋谷のヤマハが店じまいしました。
閉店セールでカプースチンのピアノソナタがどれも五百円でしたよ。

売り場のピアノで「別れのワルツ」をちょろっと弾いてお別れしてきました。
私の本を置いてくれててありがと(ここがなくなると困るぅー)。

by みどりの巨人ハルクくん (2010-12-26 19:21) 

みどりのこびとちゃん

そうなんです。渋谷のヤマハには、私も思い出があります。
閉店セール、残念ながらいけなかったけど、
うーん、楽譜とか、楽器とか、売れないんだろうなあ・・・
by みどりのこびとちゃん (2010-12-28 00:44) 

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