ピアノのための練習曲【悪魔の階段】(リゲティ) [リゲティ]
昨日の夜中に、友人から携帯にメールが入った。
「音楽のフォルテの記号は、最大でいくつか知っている?」
すかさず、私は、
「譜面で見たことのある最大は、ffffffff(フォルテ8個)」
と返信したが、友人からの答えは、
「音楽上のフォルテの最大は、ffffff(フォルテ6個)」
というものだった。
なんでも、テレビのトレビアの泉で、そういっていたらしい。
(私は、見ていないので、本当はわからないが・・・)
楽典もまじめに勉強していない私は、へぇー となったが、
まあ、きっと、決まりで、なんか制限は、あるんだろうなあ。
しかし、なんでもありの現代音楽では、フォルテが例え何個あっても驚くにはあたらない。
ということで、今日の音楽日記は、
ffffffff(フォルテが8個)譜面上に記されている、
マニアには有名だが、知らない人は、まったく知らないピアノ曲である。
ハンガリーの現代作曲家リゲティが作曲した、
ピアノのための練習曲集第2巻より第13番【悪魔の階段】である。
知らない人の為にちょっとだけこのピアノ曲集を解説すると、
とにかく、人間の指の機械的な動きを極限まで、追求した練習曲集で、
2本の手で、異なったリズムを弾くのは当たり前。
時には4種類もの異なったリズムを弾いたり、
人間の動きの限界以上のスピードを要求したり、
(実際に、第14曲は人間が弾くことが不可能な為、自動ピアノ用になった。)
とにかく、むちゃくちゃなピアノ曲集なのである。
さて、その中で最も有名なのが第13曲の【悪魔の階段】である。
始めは、音の数も少なく、音量も小さいが、うねりを繰り返し、
少しずつ、音の数を増やし、そして、音量も増し、
頂点では、ffffffff(8個!)となる。
旋律というものもない5分ほどの小品だが、
不気味だが、凄みを感じさせるピアノ曲である。
このピアノ曲は、現代音楽としては、聞きやすい。
しかし、好き嫌いは、はっきり分かれるだろう。
リゲティは、ピアノ音楽を作曲するのに、ピアノの鍵盤の上に手を置いて、
音楽をイメージするそうである。
しかし、私は、鍵盤に手を置いても、こんな曲は、とてもイメージできない(笑)
リゲティは、作曲コンクールの審査員になった時に、
「模倣者・亜流は、排除しよう。」といって、
かたっぱしから、応募作品を落としたこともあるらしい。
人の想像できないことを創り出す。
これこそ、芸術だろう。