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タイムシークエンス(一柳慧) [一柳慧]

最近、クラッシックのCDは、以前より安くなった。(嬉しいことだ)
外盤は、当たり前だが、
日本盤でも1000円程度で、よい音源がCD化されている。

ちょっと前だが、
【現代日本ピアノ音楽の諸相】というCDが2枚組で、1500円で販売された。
(レコードで昔、販売されていたものの、再発売らしい)
林光のピアノソナタや、高橋悠治、坂本龍一、間宮芳生、細川俊夫 等々
現代日本の作曲家のピアノ曲が並ぶ。
(現代とはいえ、1970年代~1980年代に作曲された曲が多い)
これで、1500円とは安い。
こんな企画物のCDをこれからも販売してもらいたいものである。

さて、このCDの中で、私が、良くも悪くも一番印象に残った曲が、
一柳慧作曲の【タイム・シークエンス】である。
(譜面も見たくなったので、買ってしまった)

今日の音楽日記は、いつもとちょっと違った曲である。

さて、この曲は知らない人の方が多いと思うので、簡単に曲の説明をしてみよう
・全曲5/4拍子で書かれている。
・ちょっとした部分を除いて、左手は10個の八分音符の音型を反復し、機械的に弾く
・速度は、プレストでかなり速い。
・右手は、機械的な音型を一小節あたり、
  20個とか19個とか18個とか17個とか、機械的に弾いていく。
・右手のパターンは、いくつかあるが、機械的で、4/5拍子ではなく、拍はずれていく。
・最初から最後まで、右手も左手もすべて単音である。
・9分程度の曲である。
・作曲者は下記のように語っている。
 「コンピューターに演奏させた方が鮮やかな効果があがる曲だが、
           それをあえて、人間の手で演奏する所に意義がある。」

はっきり言って、この曲を弾けるピアニストは、すごいと思う。
ある意味、技巧的には究極レベルだと思う。

さて、この曲の私の感想は、
・まず、イメージといったものは、まったく頭に思い浮かばない
・色彩や、香りというものも、まったくない
・たぶんこの反復音楽は、10分聴くのが限界かもしれない
・どうしても演奏する人間(ピアニスト)は、すごいと思ってしまう。
  (間違いなく、お前は、ターミネーターかと、つっこみを入れたくなりますよ(笑))
・もちろん、癒しとか、気分の高揚とかとは、無縁である。
・曲を聴いている間は、不思議な感覚と、異次元の感覚が交差する。

いつも聴く、ショパンやリストの曲と違うのは、当たり前だが、
作曲に対する考え方がまったく違う音楽である。
現代では、音列や数列を使った音楽がいろいろあるが、
クラッシック音楽のピアノ曲としては、異色の曲だと思う。

この曲は、名曲だろうか?

私は、名曲だと思う。
作曲という芸術において、
ピアノの無機質で機械的な面をこれほどまで、明確に表現した曲もないと思う。
作曲の意図が明確であればあるほど、曲には強い意志を私は、感じる。
(おっと、なんか、真面目な文章になってしまった。)

しかし、名曲とは、思うが、
多分、これから、年に一回程度しか聴かない曲だろうなあ。
でも、
コンサートホールで、生身のピアニストが、この曲を完璧に弾くのを聴いてみたい気は、
すごく、すごく、すごく、するのである。

追記
【現代日本ピアノ音楽の諸相】という2枚組のCDには、
本当に、いろいろな曲が入っている。
1500円なので、
たまには、未知の音楽に触れてみるのも、いいものですよ。
(しかし、作曲家は、本当に、いろいろな音楽を作るものだなあ・・・)


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