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ヴァイオリン協奏曲 ニ短調(R.シューマン) [シューマン(ロベルト)]

シューマンは、ピアノ、ヴァイオリン、チェロの為に一曲づつ、
協奏曲を書いている。
(いやいや、ピアノ協奏曲には、ニ短調の断片があるぞ、とか、
チェロ協奏曲を作曲者自身で、ヴァイオリン協奏曲に編曲している版もあるぞ、
なんて、マニアックなつっこみは、なしとしてです。ハイ)

で、ピアノ協奏曲は、もう有名な作品だし、
チェロ協奏曲も、ロマン派の代表的な一曲だ。
そして、ヴァイオリン協奏曲と、言うと、
この三曲の中では、いまいち、人気がない曲ですね。

今日の音楽日記は、シューマン作曲のヴァイオリン協奏曲 ニ短調です。

この曲、本を読んでも、ネットで調べても、
明確な個性がなく、ちょっと複雑でとっつきにくい
みたいなことしか書いてないし、

だいたい、曲のことよりも、
この曲を、ヨアヒム(当時の大ヴァイオリニストですね)
に送ったけど、演奏されなくて、埋もれていたのを
降霊術で見つけだして???(笑)
80年ぶりの初演も、ドイツとアメリカの間で、
ひともんちゃくあったとか・・・・
そんなことばっかり書いてる。

で、このシューマン特集を書くにたって、
私もこの曲、まともに、ゆっくり聴いたのは、初めてなのですが、
(初めて聴いたに等しいかも・・・)
一回だけ聴くと、とっつきにくいかもしれませんが、
何回も聴いていると、シューマンの世界に入っていきますよ。

最初のイメージは、なんとなく、
ベートーベンか、ブラームスのように、
がっちりした構成のような曲にも聞こえるのですが、
たぶん、そういう風にだけ聴くと、
まとまりのない曲としか聞こえないかもしれない。

第1楽章
なんで、ちょっと単純だけど、雄大な主題を、フォルテで、がつんと始めない?
なんて、思ってはいけない。
それが、いいのですよ(笑)
この楽章、構成美と、ロマンが交差する結構意志の強い音楽だと思うのだけど・・・

第2楽章
ここは、もうシューマンの音楽ですね。
シューマンの香りが、ただよってきます。

第3楽章
ヨアヒムもクララも、ちょっと問題と思った楽章。
うーん、古典派でもなく、ロマン派でもなく、
独特の世界だと思うので、私、いいと思うのですがね・・・
主題は、優雅だし・・・
ただ、この楽章、まとまりがないと思う人が多いかも・・・


このヴァイオリン協奏曲は、シューマンの後期の作品だ。
シューマンは、若いころから、音楽批評では、
フロレスタンとオイゼビウスという対極の架空の二人を登場させている。
その中でも、結局、自分自身の芸術の方向性に悩んでいたのかもしれない。

このヴァイオリン協奏曲は、古典派の構築美の中で、
シューマン特有の幻想を展開した、シューマンにしか書けない傑作だと思うのだけど、

どうだろう?

もちろん、私は、傑作と感じたけど、これは、シューマンの作品全体を考えてのことで、
この一曲だけ、取り出して聴くと、
やはり、取っつきにくく、聴くのに、難しい曲かもしれないです。

さてさて、次回からは、いよいよシューマンの室内楽です。
思った以上に、シューマンの室内楽は、すばらしいです。
初めて聴く曲もあったけど、新しい出会いは、ドキドキです。
そんな中から、何曲か選んでみました。乞うご期待。

って、こんなにシューマン特集が続くとは、予想外です(笑)

追記
 うーん、あまりマニアックにならないように気を付けよっと・・・

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コメント 4

なるたる

おぉっと、ヴァイオリン協奏曲来ましたか。
十中八九、チェロ協奏曲だと思っていたのに、これは嬉しい番狂わせだぁ…なんてねw。

この曲はあまり良い評判を聞きませんね。
曲の初演や出版の経緯(いきさつ)からして曰くありげで、タイミングも悪かった。
何よりヨアヒムとクララにダメ出しされたことが、決定的でしたね。
正式な作品番号がなく遺作扱いなことが、この曲の不遇な位置づけを物語っています。
現在でもヴァイオリン協奏曲としてはマイナーでイロもの扱いです。
まともなコンサートのレパートリーに取上げられることは、まずもってありません(最近ではちょっと違って来ているかもしれませんが…)。

にもかかわらず、私はこの曲が好きです。
大好きと言っても良いかもしれません。
力強さもあり、決然としていて、かつロマンチックな憧憬に満ち、至るところシューマンらしい幻想に満ち溢れた素晴らしい作品だと思います。

ただね、かなり混乱している。
感情が一直線ではなく、あちこちに澱みがあって、行きつ戻りつ逡巡しています、悪く言えばうじうじしています。
さっぱりとは少なくともしていない。
そして私が感じるのはその独特の「浮遊感」です。
何かフワフワと漂う感じ、捉え所がなくて酩酊したような、夢の中にいるような、現実離れした曲想が全体を覆い、妖しい幻想の雰囲気が濃厚です(第1楽章にそれが顕著です)。
狂気と紙一重の曲で、だから、この曲をズバリ「逝っちゃった曲」と言う人も多く、ようはヤバイ曲と看做されてシューマン晩年の痛々しさを強調する論評が目立つんですね。

第2楽章にしたって、これは最晩年のピアノ曲「天使の主題による変奏曲」と同じ主題を用いていますが、最早力も消えうせ、優しいけれど弛緩した音楽としか良いようがありません。
瑞々しさと若さは消えうせ、淡々としたフラットな情緒の美しさが全体を覆います…(「天使の主題による変奏曲」の作曲のエピソードはこれまた憐れで、涙なしには語れません)。

第3楽章がまたへんちくりん、何でここでポロネーズやねん。
前の2楽章に比べれば元気はあるけれど、全然力強くない。
リズムは印象的なんですが、力の持って生き方を根本的に間違えているような気がしてなりません。
普通は堂々としたロンドかなんかが来て、曲を大いに盛り上げるところなんですが、ここでも力が抜けている。
優雅で技巧的なんですが、やはり熱がない。
火と燃える情熱、パッションは何処にもなく、情緒は微温的で食い足りない。

全体的にこの曲は、ヴァイオリン協奏曲としてはどこまでも異色な構成と曲想で、そこがシューマンらしいと言えばそうなんでしょうが、今後もメジャーとはなり得ない、と思います。

でも良いんだ、そういう欠点があってもまるごとこの曲を愛するのが、「シューマンおたく」たる所以なのであります。

ところで、「ヴァイオリンとオーケストラのための幻想曲」はお聴きになりましたか。
これはヴァイオリンがギコギコとリズムを刻むパートが印象に残る、旋律の美しい幻想美溢れる佳曲でおススメであります。
未だなら是非どうぞ。
by なるたる (2009-06-24 21:01) 

みどりのこびとちゃん

なるたるさんコメントありがとうございます。
なるたるさんが、この曲のファンでよかったです。

混乱しているといえば、そうなのですが、
シューマンのヴァイオリン協奏曲、
いいと思うのですが、人気ないですよね。
まとまりがないとか、考えずに聴くと、
結構、聞き所満載ですよね

by みどりのこびとちゃん (2009-06-25 23:33) 

なるたる

どこに書けば良いか解らなかったので、シューマンのヴァイオリン協奏曲の
記事に書き込みますね。
大昔(多分30年以上前)、LP時代に何回か聴いてその滴るような旋律の美しさに鮮烈な印象の残っている曲を、何故か突然思い出しました。

それはね、グラズノフのヴァイオリン協奏曲なのです。
とにかく美しい、情緒たっぷりな曲で、なおかつ民族色豊か、もうメロメロでしたね。
第二楽章(だったかな)は、バラライカの音色を模した部分もあって、その演奏効果に目を瞠らされました。
もう何十年も聴いていないけど、最近無性に聴きたくなる曲です。

どうも最近、全ての思い出がひたすら遠い過去へ過去へと向かいつつあるのをひしひしと感じます。
急速に老けつつある証拠なんでしょうか…orz。

と言うわけで、カルウォヴィチのヴァイオリン協奏曲の第二楽章もよろしくお願いいたしますw。
by なるたる (2009-09-03 20:47) 

みどりのこびとちゃん

なるたるさん、コメントありがとうございます。
グラズノフのヴァイオリン協奏曲は、知ってます。
私も、最近、ちょっと聞いていなかったので、取り出してみます。
確か、ロシア的で、そんなに長くない協奏曲だったかなあ
ちょっと聞いてみなすよ。

by みどりのこびとちゃん (2009-09-06 07:49) 

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