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ピアノソナタ第3番(ブラームス) [ブラームス]

さて、ブラームスのピアノ曲でよく知られているのは、
「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガ」と
「パガニーニの主題による変奏曲」と
ハンガリー舞曲と
後期の渋い、小品群達かなあ。
他にも、いろいろなピアノ曲があるのだけど、
ブラームスの若き日の作品の全3曲あるピアノソナタは、
そんなに、有名でないかもしれない。

大抵の論評は、だいたい、3曲とも、
・力入りすぎ、
・構成力が弱い
・知的さがない
・深い情感がない
・なにかもの足りない 等々

お説ごもっとも。
あまり反論する余地はないかもしれない。

しかし、どの論評も、
・若さあふれる情熱と、突進力がある
みたいなことも書いてある。

そう、若いころしか書けない、
真っ直ぐな作品は、それはそれで、
違った魅力がある。

もっと、その魅力的な部分を聴きましょうよ。

今日の音楽日記は、ブラームスが書いた3曲の
ピアノソナタから、第3番です。
(若いから、やっちまったなあ・・・という感覚からすると、
 第1番か第2番のピアノソナタなのですが、
 私は、3番が、一番聴きごたえあるかなあなんて思っています)

さて、ブラームスのピアノソナタ第3番です。
全体は、5楽章からなり、30分をゆうに越える作品です。
まあ、ブラームス 20歳の時の作品ですから、
それは、それは、気合いが入っています。

第1楽章
 冒頭から、気合い一発という感じの主題ではじまります。
 そのイメージがこの楽章を一貫して、流れています。
第2楽章
 ブラームスは、「若き恋」という詩をこの曲に書きしるしたらしい。
 この楽章、私好きです。
 特に、4/16の部分の旋律の部分と、
 ワーグナーの旋律に似ているという部分ですね。
 最後の方の盛り上がり方は、ブラームスらしくないけど、
 なんか、若いブラームスという感じでいいなあ
第3楽章
 メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲の主題と同じだあ・・・
 ということを、ついこないだ、知りました。ハイ
 ブラームスらしいスケルツォです
第4楽章
 ベートーベンの運命の動機が支配している、短い間奏曲
第5楽章
 リズミックな主題で、そっと始まる。
 でも、なんといっても、コラール風の主題がでるところからの展開が、すばらしい。
 そして、最後の方で、フーガ風に展開するところが、とてもいい。
 ベートーベンの第31番のピアノソナタのフーガのように展開してくれればと思って
 いるけど、若き日のブラームスは、突然プレストのコーダに入り、
 そして、雄大に主題を演奏して、フォルテの分厚い和音で、強烈に終わる。

ブラームスさんは、この3曲のピアノソナタを晩年、
どう思っていたのかなあ・・・

やっぱり、若い日の作品は、ちょっと恥ずかしいなあ・・・なんて思っていたのかなあ

第3番のピアノソナタに限らず、
ブラームスのピアノソナタは、20歳までにすべて書かれた

そりゃあ、構成とか、深い情緒なんて関係なく、
気合いが入った作品になりますよ。

そして、それは、その時期にしか書けない傑作です。

さてさて、ブラームス特集もあと2曲で、一旦締めようと思う。

****************************************************************

関係ないけど、左のサイドバーを見てください。
最近、ピアノ音楽以外も多くなってきたので、
この音楽日記、作曲家別に分類することにしました。
(ちょっとまだ途中だけど・・・)
これで、過去記事も見やすくなりますね
(って、誰もそんなこと思っていないか・・・(笑))

あれっ、ブラームスって、ショパン、リストについで記事が多い。
(第3位だあ)





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コメント 8

なるたる

おおっと、ピアノソナタ第3番を持ってくるとはまたまた番狂わせだぁ!。
かなり力(りき)が入っていますねw。

ブラームスの音楽はごく若いころから老成した印象があって、他の作曲家の若い頃の作風とは明らかに違います。
技法は未熟かもしれないけれど、音楽そのものは既に十分ジジむさいw。
幼いとか拙い(つたない)とかは余り感じさせない、地味で重厚なイメージがあって、結局骨の髄までブラームスなんですね。
言わば父っちゃん坊やの音楽であります。

3番のピアノソナタも、ブラームスならではの旋律と情緒に満たされています。
「地味だよ地味、若いみそらでこんな年寄りじみた曲書くんじゃねえよ、オメエは一体幾つになるんだ!」と、どやしつけてやりたくもなります(冗談です)。
でも私、この曲はブラームスのピアノソナタの中でも1番好きです。
3曲の中でもスケールが大きくて、一番響きが充実している。

だけど、大体何が悲しくて5楽章にせにゃあかんのよ。
演奏時間が長過ぎて、持て余すんですけれど…。
若いからと言って、ハッタリ噛ませば良いってもんじゃないぞ。

ブラームスはワーグナーとは相容れない人物のようですが、ワーグナー風と見做される旋律の借用は色んな作品で随所に見られますね。
私は個人的にはワーグナー大好き人間なので、第2楽章のワーグナーもどきにはぐっと来ます。
これは素晴らしく旋律的で、その展開も素晴らしい。
まるでワーグナーのオペラ独唱のピアノ版と言った趣きですよ。
第1楽章の飛び跳ねるリズムの面白さ。
第3楽章の悪魔的推進力。
第4楽章の優しさ・優美さ。
第5楽章の充実した響き。特にPiù mosso部分の高揚感、カノンの響きの重厚感。

多分この曲に書き込みを入れる人は皆無だろうけど、敢えて言います。
この曲は、若い情熱とロマンに溢れた、でもジジジむさい曲だけど大変素晴らしいとw。

by なるたる (2009-03-16 02:24) 

みどりのこびとちゃん

なるたるさん、コメントありがとうございます。
うーん、確かに、長いです。
もっと短かったら、演奏される機会も多かったかも・・・

私は、ブラームスのピアノソナタの3曲は、思い出したように、
時々、聴きます。

by みどりのこびとちゃん (2009-03-16 22:39) 

sarabande

グーグル検索で上位にあったので、コメント失礼します。

 昨日、ブラームスピアノソナタ第3番を、生で聴く機会を得た。たぶん、一生に一回きけるかどうかの曲だとおもったので、仕事の都合をつけて、時間をつくって行った。
 浜松のアクトシティ、今仁喜美子さんの演奏だった。40分強の曲が、夢のように、過ぎ去ってゆく、普通のピアノ音楽を聴くのとは、別種の時間の過ぎ去り方で、特に第2楽章と第4楽章の対比には、オペラ、楽劇をみているような印象を受けた。それも、オペラや楽劇、さらには、映画などの視覚に訴える芸術では、決して表現できないような、女性の愛と運命の内面というものを、非常に高次の段階で芸術として表現してくれていたと思う。
 ワーグナーが、この楽章を褒め称えたという話があるが、この若いブラームスの音楽は、ワーグナーのトリスタンとイゾルデよりも、より現実的で、さらには、高いところで昇華させているものだと、今仁さんの演奏で感じた。3.11後の日本で、命の力づよさを伝えたいというお話だったが、本当に真摯な男女の交わりのなかで、命が宿る瞬間を、この楽章は描いている。その表現は、猥褻とか、エロチックとか、性愛とか、あるいは、オーガニズムとか、そいう表面的、機械的、生物学的な言葉を使うと陳腐すぎて、的外れになるが、そういうものではなくて、その奥にある涙のでるような心的実体を表現している。それは、なにか、力強く、前にすすむような力であり、性愛の中にあり、性愛をこえた力である。そして、それは、特別なものではなく、いつも、真摯な男女関係があれば、そこ、ここにあるものである。
 ワーグナーは、ブラームスのようには、これを純粋、素朴な形で、表現できなかったのかもしれない。今仁さんの人柄と、人生経験、それから、身体性があってこその、昨晩の名演だった。
by sarabande (2012-02-06 17:13) 

オバQ

再び、お久しぶりです。昔、ラジオのNHK FMで聴いたジュリアス・カッチェンのブラームス演奏が、私の中でブラームス演奏の標準になってしまっております(確か「大作曲家の時間」)。
by オバQ (2012-02-06 23:12) 

みどりのこびとちゃん

sarabandeさん、コメントありがとうございます。
ブラームスのピアノソナタ第3番を実演で聞かれたとのこと。
それも、すばらしい演奏で・・・
うーん、いい体験ですねえ。
この曲、確かに若い時の作品だけど、
じっくり聴くと、ドラマがあります。
私も実演で聴いてみたくなりました。

追記
本当だ。グーグルで、「ブラームス ピアノソナタ第3番」と
検索すると、1ページ目から この日記がヒットする
いったい、どんなセンスでグーグルは、順番つけているんだろう(笑)
by みどりのこびとちゃん (2012-02-07 01:20) 

みどりのこびとちゃん

オバQさん、お久しぶりです。
コメントありがとうございます。
ジュリアス・カッチェンですか、懐かしいなあ
私のこの曲との出会いの演奏も、FMなのですが、
カセットテープにとりこんだ演奏、ライブで、
いまだに誰の演奏かわからないのです。

by みどりのこびとちゃん (2012-02-07 01:23) 

sarabande

みどりのこびとちゃんさん フォロウありがとうございます。

今仁さんのリサイタルは、2月25日(土) 19時開演で、銀座王子ホール
でも、同じプログラム(メシアン、スカルラッティ、ブラームス)であります。
http://www.ojihall.jp/concert/calendar/2012_02cal.html

今回の来日では、浜松と東京銀座の2つだけのようです。
エレーヌグリモーのブゾーニ編曲シャコンヌを聴いたときも、
何かが、ピアノとグリモーのところに舞い降りてくるような感覚をもち
ましたが、それとは別種の、やわらかいビロードのような、
めくるめく音楽でした。弱音と終始のリズム感、表現力がすばらしいです。
ジャズピアニスト上原ひろみと、同門のようで、なんとなく納得しました。
今現在、ブラームスピアノソナタ3番をひかせたら、世界の中でも片手に
入るんじゃないかと思います。まあ、私の色眼鏡かもしれませんが、
あのウゴルスキも絶賛しています。
私は、彼女の2楽章で、ワーグナーのトリスタンとイゾルデの愛の死の
呪縛を相対化できるようなきっかけを得ました。個人的に結構大きい
体験でした。どうでもいいですが、ショーペンハウアーの相対化でも
あります。

時間と場所が合えば、是非どうぞ。
by sarabande (2012-02-07 22:59) 

みどりのこびとちゃん

sarabandeさん、演奏会の紹介ありがとうございます。
2/25かあ・・・残念ながら、用事が入っています。
またの機会に、ですね


by みどりのこびとちゃん (2012-02-10 00:20) 

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