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交響曲 第8(7,9)番【グレート】(シューベルト) [シューベルト]

男は、日曜日の夜9時過ぎに、家に帰った。
「ただいま」
家に帰ると、居間から、家族の声と、
なぜか、クラシック音楽が、聞こえる。
そうか、N響アワーの時間か、
おっと、すごく聴き覚えのある音楽だ。
管弦楽曲だ。交響曲っぽいけど、
あれっ、あれっ、この曲、なんだったかなあ・・・

居間に入ると、突然、妻が言った
「今、テレビをつけたのだけど、この曲なあに?」
おいおい、テレビを最初から見ていなかったのか?
その時、娘が言った。
「お母さん、クラシックで、お父さんが知らない曲なんて、ないよ」
娘よ、そんなことは、ないのだよ。
クラシック音楽は、星の数ほどあるのだぞ。
しかし、この状態は、まずい。
このテレビで演奏している曲、なんだったかなあ・・・
ちょっと、口ごもっていると、二人して、
「あれ、お父さん、この曲、知らないの?」

いかん、いかん、ここで、父親の威厳をみせなくては、
でも、なんでだろう、すごく有名な曲だと思うのに、
なんか、すぐには、題名が思い出せない。
うん、こんな時は、推理してあてるしかない。

「外から帰ったので、ちょっと、手を洗って、うがいしてくる」
男は、洗面所に行った。
あせるな、落ち着け、有名な曲だ、すぐ思い出すはずだ。
曲の響き、旋律、和声、どう聞いても、
ベートーベン以後、ブルックナー以前だし、
絶対、フランス系ではない。
ドイツ・オーストリア系だな。
でも、ブラームスなら、ヴァイオリンの高音をもっと使用するし、
シューマンか?
頭の中に、すばやく、シューマンの4曲の交響曲の主題がよぎる
どれも違う・・・
ウェーバーか?、メンデルスゾーンか?
いやいや、違う。もっと有名な曲だ
かすかにテレビの音が聞こえてくる。
シソソラ・シソソシ・ドレミミ・ドレミミ・・・
あー、なんか、よく聴いていた音楽なのに、
題名がでてこない。

男は、意を決して、妻と娘のいる居間にもどった。

「お父さん、実は、この曲、わからないのでしょう」
妻が言った。
さすがだ、するどいぞ・・・
「いやいや、これは、有名な曲だね、もちろん知っているよ」
まずい、自分を追い込んでしまった。後にはひけない。
男の額には、汗が出てきた。

どうする・・・

そんな時、テレビから、雄大な旋律が、響いた。
ドーレミ・ラーシドー・ファーレミー・・・・

シューベルトさん、ありがとう。
曲の最初の導入部の主題を、第1楽章の最後にも、再現させてくれて、
(チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番のように、再現しなかったら、まずかった)
これで、題名を思い出した。

その男は、勝ち誇ったように言った。
「この曲は、シューベルトの交響曲【グレート】と言ってね・・・・」
そして、続けた
「で、この曲は、ああで、こうで、そして、・・・・・うんたらこうたら・・・」
ここまでくると、妻と娘は、男の言葉をまったく聞いていなかった。

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す、すいません。上は、一週間前の実話です。
でも、すごく知っている曲なのに、題名が出てこないことって、ありますよね。

今日の音楽日記は、シューベルト作曲の交響曲【グレート】です。
この曲について、調べると、曲の音楽的内容より、

 交響曲第9番→第7番→第8番になった経緯とか(個人的には8番は、未完成なんです)
 第一楽章の主題は、最初は、こんな形だったとか
 シューマンが「天国的な長さ」とか言ったとか
    等々
そんなことが書かれている場合が多い。
でもね、そういうことも、もちろん面白いけど、
この曲の音楽は、とてもすばらしいと思う。

確かに、全4楽章聴くと、長い。
でも、シューベルトの曲の中では、
歌と、構成力とが、絶妙なバランスを取っていて、
雄大で、ロマン的で、でも、シューベルトしか書けない旋律で、あふれている。

この曲を、最初に聴いたのは、いつだっただろう
昔々、確か、フルトベングラーファンの友人に、
「フルベンのシューマンの第4番と、シューベルトのグレート は、絶対に聴け」
とか言われて、聴いた気がする。

シューベルトのグレートを最初に聴いた時は、
出だしの旋律は、気に入ったものの、
そんなに劇的でなかったので、最後まで聴くと、長くて、長くて、
どうも、全4楽章、聴くということは、なかった気がする。

いつからだろう、肩の力を抜いて曲が聴けるようになって、
初めて、なんとなくだけど、音楽の中に体をゆだねて、
この曲を聴くと、良さがちょっとだけわかった気がした。

私が思うに、この曲、シューベルトの交響曲の中では、
構成力が強い なんて、言われているけど、
あまり、そんなこと考えず、聴く方が、いいと思うなあ。
第1楽章の雄大さ、(やっぱり、最初の主題は、いつ聴いてもいいです)
第2楽章の歌心、(オーボエの旋律、粋ですよね)
第3楽章のシューベルトならではの流れる歌のようなスケルツォ
第4楽章のいつ終わるともわからない音楽の時間

まあ、こういう曲を力を抜いて聴けるようになったのも、
歳をとったせいかもしれません。

えっーとですね、随分、ロマン的な演奏で、現在は、はやらないかもしれないけど、
フルトベングラーのこの曲の演奏、結構好きです。というより、一番好きかな

さてさて、今日の音楽日記は、前書きもあって、かなり長くなってしまった。
でも誰も、「天国的な長さ」とは、言ってくれないだろうなあ(笑)

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