SSブログ

即興曲 第2番 嬰ヘ長調(ショパン) [ショパン]

さて、前回に続いて、ショパンの即興曲です。

即興という言葉から、
皆さんは、なにを想像するだろう?

音楽では、やっぱりジャズですね。
テーマがあって、それを自由に、展開して演奏していく。
それは、100%、演奏者のそのときの感情にまかせる場合もあるだろう。
でも、ある程度、緻密に計算された即興演奏も、もちろんあるだろう。
このバランスが難しい。
ある程度、計算され、組み立てられた即興は、つまらないし、
感情のおもむくまま、に本当に演奏したら、バラバラになってしまう。
ただ、ジャズの即興の部分は、骨格はあるけど、
こういう風に、弾け、という譜面はない。

さて、クラシック音楽では、即興曲と名前の付いたピアノ曲は、
いろいろな作曲家が、作曲している。
(ショパン以外では、シューベルトやフォーレやプーランクなど有名ですよね)
でも、一応、譜面があるのですね。

クラシック音楽の場合は、
作曲者が、自由な形式で、気のおもむくままに、
譜面にしたもので、どちらかというと、計算もされた曲かもしれない。
でも、感情も多く、作曲の時間は、少ないはずだ。

間違えなく、構想10年、なんていう、即興曲は、ないな(笑)
なんて、ばかなことを考えている

ははは、という訳で、今回は、ショパン作曲の即興曲第2番ですね
この即興曲は、傑作とは、言えないかもしれないけど、
そして、自由な即興曲なんだけど、
なかなか、味わいも深いし、聞き所もある。

曲は、ノクターン風の主題で、始まる。
単純だけど、なぜか、ちょっと懐かしいし、趣きがある。
そして、突然の行進曲風の中間部。
そして、最初の主題がもどる。
これだけなら、普通だけど、
その後、32分音符のすばらしい、ピアノの走句がある。
この部分は、この曲のもっとも、印象的な部分かな。

この曲、小粒なショパンのバラードや舟歌と言ってもいいと思う。

自由なショパンの世界を小さく味わうには、
この曲が一番かも知れない。

そんなに有名でないけど、そんな曲です。

話変わって、「名曲ミステリーゾーン」という本があって、
ショパンの即興曲 全4曲を譜面付きで、
全4曲のテーマの結び付きと、どのへんが、関連しているのか、
考察して書いてある。
とてもおもしろいし、すばしいけど、
この2番の主題と、他の即興曲を関連するのは、
ちと、強引かなあ・・・あまりに、似ていない気がするのですが・・・

さてさて、次回は、即興曲3番です。(まあ、当然かな(笑))

nice!(1)  コメント(8) 
共通テーマ:音楽

nice! 1

コメント 8

なるたる

2番は4曲の即興曲の中でも、多分継子(ままこ)扱いの曲なんですね、それくらい突出している。
曲想が他の3曲とは根本的に異なっています。
ノクターン風の第1主題、突然現れる行進曲、大胆な転調、三連音符による第1主題の復帰、目を瞠る右手32音符の急速な走句…乱雑な音の継ぎはぎに見えながらとても美しい、そして素晴しく豊かです。

深みがあって一筋縄では行かない。
単純ではない情感が背後にあって、比較的分り易い他の曲と比べても、一線を隔する曲なんですね。
ショパンの最良のファンタジーが仄見えるような気がします。

この曲が作曲された経緯(いきさつ)は寡聞にして知りませんが、どうもその場の感興で一瀉千里に作られた曲ではないように思います。
これが幻想即興曲から派生した曲だとは、俄かには信じがたい。

by なるたる (2009-01-22 21:10) 

なるたる

追記。
面白そうなので「名曲ミステリーゾーン」読んでみますね。
by なるたる (2009-01-22 21:22) 

みどりのこびとちゃん

なるたる さん、「名曲ミステリーゾーン」面白いですよ。
まあ、作者の独断なのですが、よく調べているし、
その解釈は、なかなかのものです。
譜面も多いですが、譜面の苦手な人は、取っつきにくいかも・・・
それと、ジャンルが幅広いです
by みどりのこびとちゃん (2009-01-24 01:13) 

なるたる

名曲ミステリーゾーン、読みました。
とても面白かった。
真相はともかく、著者の深い学識と説得力のある思い込み(?)に蒙を啓かれる思いがしました。

ショパンの即興曲の共通性については、読む前は「2番が幻想即興曲から派生しただァ?、バカ言ってんじゃねえよ」と、相手にもしませんでしたが、読み終えると見事に折伏されてしまいましたw。

ポロネーズ OP44や幻想ポロネーズの記述なんかも、なるほどと思えるから不思議です。

でも一番の衝撃はチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番の「消えてしまった第一楽章出だしのテーマは?」でしたね。
これが第3楽章フィナーレの第2主題で、大きく形を変えて甦るのを、しかもご丁寧に両者を合わせた楽譜付きで提示するのを見て、完全に参ってしまいました。
うーむ、何と言う力技の説得力w。

これは稀に見る刺激的な本ですね。
著者の想像力には完全に脱帽であります。
良い本のご紹介、ありがとうございましたw。

by なるたる (2009-01-28 22:13) 

みどりのこびとちゃん

名曲ミステリーゾーンを紹介して、よかったです。
この本のすばらしい所は、
著者が、過去の本に書いていることを
鵜呑みにせず、自分の考えをちゃんと書いているところですね。
学問的研究では、けっしてないけど、
すごく、おもしろい。
こんな風に、この音楽日記も書ければいいのだけど・・・無理です はい。
by みどりのこびとちゃん (2009-01-29 00:06) 

早川直希

名曲ミステリーゾーンを出版してよかったです。
この本の著者の早川直希です。はじめまして。
私はインターネットをやっていないのですが、
たまたま機会がありましたので、
こういう場に本人がでしゃばるのはどうにも野暮とは思いますが、
コメントさせて頂きました。
一点だけ、「この2番の主題は、他の即興曲のものとは
あまりに似ていないように思う」とのことですが、
この場合、同一の基本素材から、まったく違った曲想のものを
作り出している、ということが、すごいと思うのです。
4つの即興曲が同じ基本素材から 出来ているということは、
記事でお分かりいただけると思います。
2番の主題に関しては、3番の出だしが1番の主題と
明らかに似ている(それでも両曲の曲想はかなり異なりますが)
という次元のものとは違うのです。
リストが協奏曲やソナタで行なっている「主題変容」の技法が、
学者のあいだであまり高く評価されていないのは、
各主題の変容の関係がはっきりと分かるものが多いからで、
ぱっと見には似ても似つかない、関連が隠蔽的であるという方が
より一層「技あり」ということです。
あのような記事を書きながら、2番についてはどう把握していいか
よくわからず、ショパン自身が作曲当時
「出来たばかりでよくわかりませんが、おそらく駄作でしょう」
と言っていたのに、「ま、そっかな」と同調してもいましたが、
「小粒なバラードや舟歌」
「自由なショパンの世界を小さく味わうには一番の曲」
との解説に、とても納得させられました。

なるたるさんは、数年前にほんの短期間だけネットをやった時に
今はなきザ・掲示板でよくお見かけしておりました。
私は好き勝手な書き込みばかりしていましたが、
なるたるさんともなにかやりとりがあったかも知れません。
あそこは、一体何者かと思うような常連のつわもの識者が
たくさんいて、なるたるさんもそのお一人でしたが、
名曲ミステリーゾーンはそういう方々に読んでもらいたかったので
とてもうれしいです。

おふた方とも、ご愛読ありがとうございました。
by 早川直希 (2009-04-12 12:13) 

なるたる

早川直希様。

これはこれは、大変恐縮です。
まさか著者ご本人が登場するとは思いもよりませんでした。

とても刺激的で知的興奮に満ちた素晴らしいご本だと思います。
アプローチの仕方に説得力があり、何度も「うーむ」と唸ってしまいました。
続編が発売されることを心より期待申し上げております。

ザ・掲示板にもご投稿をされていたとのこと、誰だったんだろう?
ひょっとして大ゲンカしていたりしてw
by なるたる (2009-04-12 17:56) 

みどりのこびとちゃん

早川さん。コメントありがとうございます。
「名曲ミステリーゾーン」の著者様みずから、
このような、ブログにコメントいただけるとは、驚きです。
そうですね、似ている似ていないではなく、
基本主題の変容が4曲というところがすごいのですよね

この本は、本屋で立ち読みして、すぐレジに持っていきました。
それほど、面白かったです。
(でも、何冊ぐらい売れたのだろう?)

最近、結構、毒づいた音楽批評の本が多い中で、
こういう、楽譜の謎の探求はいいです。
第2弾 期待しています。

by みどりのこびとちゃん (2009-04-12 21:42) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。