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アド・ノス、アド・サルタレム・ウンダムによる幻想曲とフーガ(リスト=ブゾーニ) [リスト]

さて、今日は、名古屋に仕事で出張だった。
午前中に新幹線で、名古屋に到着し、午後から仕事と言う時に、
ちょっとした出来事があって、新幹線で、とんぼ帰りし、
午後は、仕事を休んで、実家にもどることになった。
まあ、そのこと自体は、たいしたことがなく、よかったのだが、
そんなことが、あって、今夜は、実家でゆっくりしている。

実は、実家には、レコードが山のようにある。
この音源をどうしたものかなあ・・・
私が、クラシック音楽を聴き始めたときは、
擦り切れる程聴いたレコード達だ。
まず、絶対に捨てないなあ・・・みんなどうしているのだろう
実家には、レコードプレーヤーもあるし、
自作のスピーカーも健在だ。
今夜は、ちょっと、レコードでも聞くか・・・
実家にあるレコードは、圧倒的に、ピアノ曲が多い。

あの曲、この曲・・・昔よく聴いた曲を聴くのは、すごく懐かしい
テレンス・ジャッドのイスラメイ
ルイス・ケントナーのリャプノフの超絶技巧練習曲
パデレフスキーの自作自演
フランス・クリダのリスト
等々・・・(最近、こんな曲あまり聞かなかったからちょっとだけ新鮮(笑))
いろいろ聴いていたが、1枚のレコードが目にとまった。
それは、モギレフスキーというピアニストが弾いたレコードで、
リストの曲と、ラヴェルの曲がカップリングされていた。

今日の音楽日記は、そのリストの曲
【アド・ノス、アド・サルタレム・ウンダムによる幻想曲とフーガ】
という曲だ。

まあ、この曲、知らない人の方が圧倒的に多いですよね。
一般的には、まったく無名だし、
リスト好きな人も、あまり聞いたことのない曲だと思う。

この曲は、マイヤベーアのオペラ【預言者】の第1幕のコラール主題をもとにして、
自由に作曲されている。
実は、この曲は、最初にリストは、オルガン独奏曲として作曲し、
その後、リスト自身は、ピアノ4手用に編曲をしている。

私としては、このリスト自身の曲よりも、
ブゾーニがピアノ独奏用に編曲した版が、すごく好きだ。
モギレフスキーもこのピアノ独奏版を弾いている。

この曲をちょっと説明してみよう。
この曲は、幻想曲~コラール~フーガ という3部構成をとっている。
いいですねえ、この構成。
この構成だけで、勝負ありですね(そうか?)
第1部は、主題を徹底的に展開する。
低音のオクターブ奏法は、いかにもオルガン的
でも、最後の部分なんて、ピアノならでは・・・
第2部は、美しいコラール。もうお約束の中間の部分です。
第3部は、かっこいい序のあとに、フーガが始まります。
ちょっとぎこちなく聞こえるフーガですが、
聞き込むと、やみつきになる音楽です。ピアノの技法もすばらしい。
そして、音楽が、混沌として高揚していき、頂点で終わる
(最後は、コラールが堂々と演奏され、
そして、ピアノの技巧をこらした装飾・・・)

このピアノ独奏曲、テクニックがないと、まったくダメな音楽になってしまうと思う。
第3部のフーガなんて、ピアノを鳴らしきらないと、音楽にならない。
モギレフスキーは、すごいなあ・・・

この曲、今でも、あまり、プロのコンサートプログラムに載る曲ではない。
うーん、なんでだろう
結構、演奏効果もあるし、ピアノは、思う存分鳴らせるし
現在のプロレベルのピアニストなら、十分弾けると思うし
無名だからかなあ・・・(そうかも)
疲れるからかなあ・・・(そんなことはないよね)
題名が、いいにくいからかなあ・・・(あんがいそうだったりして(笑))

でも、無名の曲でも、弾きましょうよ。

この曲、リスト作曲でブゾーニ編曲の中では、一番ではないかなあ
まあ、リストの曲が好きな人は、1回は聞いても損はないかも
でも、リスト嫌いの人は、多分、まったくダメだろうなあ・・・
でも、こんな1曲があってもいい。
ピアノの響きが、底から響いて、それはそれはいいのです。

あーあ、また、無名な曲を書いてしまった。
次回は、有名曲、書きますよ・・・本当か

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なるたる

リスト嫌いだけど、この曲大好きの私がやって来ましたよw。
でもなんでこの曲好きなんだろう。
よくわかりませんが、リスト特有の軽業師的テクニックがあからさまじゃないからなのかもしれませんね。
つまりはテクニックが曲に奉仕していて、単なる空虚なテクニックの見せ場に終わっていないからなのかもかもしれません(あのブゾーニ編曲ですしね)。
曲として、中身がちゃんとあるんでしょうね。

重厚で情熱的で瞑想的で、何と言うか中身のいっぱい詰まったズワイガニのような味わいがあるんですよ。
この曲と「ノルマ回想曲」は、数あるリストのしょうもないピアノ曲の中では、
例外的に好きです。

モギレフスキーのピアニズムは色彩感には乏しいですが、極めて硬質な響きと、重戦車のような圧倒的なエネルギーと、それと相反するような暗鬱で甘い叙情で聴く者を圧倒する迫力に満ちています。
この曲の演奏にはうってつけです。
演奏のスケールが大きく、惹き込まれるテクニックですね。
ギレリス・ペトロフ・ジューコフなんかと共通するものがある。

私はこのピアニストが好きですが、国内でも国外でも余り話題にならなかったのは残念です。
録音にも恵まれず、私も僅かにラフマニノフのピアノ協奏曲第3番のCDを持っているだけです、もっと評価されても良いピアニストだと思います。
かのポリーニは、このピアニストを大変評価していたらしいです。

でも前にもちょこっと書いたけど、最近本当にピアノ曲聴かなくなった。
あんまり聴く気も起きません。
この曲もマイアベーアの原曲のオペラの方が遥かに興味あります。

私もLPは300枚くらいありますが、プレーヤー処分してしまって今では聴く機会もありませんorz。
多分、このまま押入れの奥で朽ち果てて行くことでしょう。

by なるたる (2008-10-29 22:25) 

なるたる

追記。
youtubeでもオルガン版、ピアノ版両方が聴けますよ。
うーむ、オルガン版の神秘的な響きも、なかなか味があって良いな。

by なるたる (2008-10-29 22:48) 

なるたる

そう言えば昔、LP時代に、フランス・クリダのリスト大全集なんてのがありましたね。
勿論、現在のレスリー・ハワードのそれとは比ぶべきもない不完全な全集でしたが、興味をそそられる全集でしたね。
別段買う気もありませんでしたが、クリダは当時リスト弾きとして知られていましたよね、懐かしいです。

今は彼女、どうしているんでしょうかね。

by なるたる (2008-10-30 20:13) 

みどりのこびとちゃん

なるたるさん、コメントありがとうございます。
この曲が無名なのは、やはり、名前がいいにくいと思っています。
結構、中身があるし、なんといっても、聴きごたえがある。
なるたるさんも、たまには、ピアノ音楽ききましょうよ。

しかし、ブゾーニっていう人は、よくわからない。
いろいろな曲の編曲や、版を作っているけど、
ときどき、なにをしたいかわからないものもある。
(この曲の編曲は、とてもいいと思いますよ)
作曲は、うまいのか、へたなのかわからないし・・・

話変わって、フランス・クリダ、今、なにしているのかなあ・・・
私、あのリスト全集(一巻LP4枚組9600円 それが、全5巻だったかな)
少しもってたりします。
それに、リストのピアノと管弦楽の曲を4曲やる演奏会も行ってたりして・・・
バリバリタイプのピアニストではなかったけど、
当時、リストをあれだけいろいろ弾くピアニストは、いなかったなあ
by みどりのこびとちゃん (2008-10-31 23:47) 

なるたる

フランス・クリダをネットで検索していたら、こんな顔写真を見つけました。
昔はホッソリとした短髪・ボーイッシュな容姿だったような気がしましたが、今では…すっかりお婆ちゃんです(御年70歳!)。
http://www.ongakukogen.com/clidat.htm

歳月とは恐ろしいものです、随分太りましたねw。

但し、順調に出世されたみたいで、「演奏活動に加え、国際ピアノコンクールの審査員、フランス・モンド市で毎年開催される夏季ロゼール国際音楽アカデミーのマスターコース、そしてパリ・エコール・ノルマルはじめ世界各地で教授、教育者としても多大な貢献をしている」、と八面六臂の大活躍振りです。

「マダム・リスト」の異名を取る堂々とした女傑になりましたw。
by なるたる (2008-11-01 00:42) 

みどりのこびとちゃん

フランス・クリダ 順調に出世していますねえ。
いやいや、女性ピアニストって、歳とっても、たいてい、
堂々していますかな・・・
by みどりのこびとちゃん (2008-11-02 22:37) 

なるたる

20年程前、仙台の某ボーリング場で開催されていたCDフェアで買った、ブゾーニのピアノ曲全集持っています。

ブゾーニは…、仰るようにとても一筋縄ではいかない人物ですね。
神秘的な巨人、複雑な性格であり、未だにその作品の真価が評価されているとは言い難い。
天才には違いないが、分りにくい作風であり、音楽史上の位置も定まったとは決して言えない。
今後ますます評価が高まって行くことを期待してます。

でも彼の編曲したバッハの作品はとても好きです。
何故か心惹かれる人物ではあります。



by なるたる (2008-11-07 21:06) 

みどりのこびとちゃん

ブゾーニは、本当によくわかりません。
天才なのか、違うのか?
作品によって、ものすごく作風が違う感じだし・・・
by みどりのこびとちゃん (2008-11-08 01:33) 

Maria Satomi

2011年3月4日(金)18時30分より岸和田の自泉会館にて、私の友人でイタリアのピアニスト、ロベルタ・ピリがこの曲をプログラムの最後に演奏します。

彼女はマスタークラスも開催しますがポリフォニックなピアノ演奏についての研究を進めている専門家ですので、この曲を聴けるのを今から楽しみにしています。2月19日から26日まで新宿と荻窪でポリフォニーをテーマにマスタークラスを開催します。

ヨーロッパ、アメリカでは意欲的な活動を続けていますが来日は今回で2度目、15年振りの事です。
昨年、アメリカのカーネギーホールでベートーヴェン後期5大ピアノソナタを演奏し、来年2月16日には東京・上野旧奏楽堂で5大ピアノソナタを演奏しますが、3月4日は上記の通り、リスト生誕200周年記念コンサートでリストの作品を演奏します。

お時間ございましたら彼女のコンサートにお越し下さい!
by Maria Satomi (2010-10-26 10:52) 

みどりのこびとちゃん

Maria Satomi さん、コメントありがとうございます。
この曲、生で聴いたことがありません。
聴いてみたいなあ・・・でも岸和田かあ・・・遠いなあ
ロベルタ・ピリさん、名前覚えておきます。
by みどりのこびとちゃん (2010-10-27 23:02) 

なるたる

懐かしのフランス・クリダのリスト作品集(14CD)の復刻版が発売される
ようです。
よろしければどうぞ。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3955379

by なるたる (2011-01-15 20:16) 

みどりのこびとちゃん

クリダの全集 なつかしいです。
これ買います。
だって、当時は、お金がなくて、全部買えませんでした。
えーい 大人買いです。

いまとなっては、バリバリの演奏ではないけど、
懐かしいなあ・・・
by みどりのこびとちゃん (2011-01-20 23:55) 

みどりの巨人ハルクくん

ちょっとはずれた所で、ご退院のお祝いを申し上げます。
実は私、目をいじくられることほど恐怖を感じることもありません。
あちらの記事に手術中の描写などありましたが・・・目だけは病みたくないものです(震)。

ところで、私の数少ない知り合いのピアニストが、クリダに師事していまして、
おととしだったか、彼女が来日して、弟子の彼と共演したり、公開レッスンを
催したようです(残念ながら私は行けなかった)。

「フランス」という名前は、日本で言えば「大和(やまと)」という名前の人のような
感じなんでしょうか。
by みどりの巨人ハルクくん (2011-01-21 01:50) 

みどりのこびとちゃん

ハルクさん、コメントありがとうございます。
はい、目の手術は、こりごりです。
あれは、実際にやった人でないと、わからないかもしれません
(白内障だけの手術なら、簡単だそうですよ)

クリダは、教育者として活躍しているみたいですね

by みどりのこびとちゃん (2011-01-22 00:23) 

なるたる

youtubeにて懐かしのモギレフスキーの演奏するこの曲見つけました。
懐かしくずっと聴き入っていました。
うーん、やっぱりモギレフスキーは素晴らしいです。

part1
http://www.youtube.com/watch?v=o2l1amF6OR8&feature=related

part2
http://www.youtube.com/watch?v=eRY4xWCUVlc&feature=related

part3
http://www.youtube.com/watch?v=kcR3uqOi2x0&feature=related
by なるたる (2011-12-25 02:39) 

みどりのこびとちゃん

なるたるさん、紹介ありがとうございます。
これも、まだ全部聴いてないけど、正月に、ゆっくり聴きます。
しかし、ちょっと聴いたけど、懐かしいなあ。
うまいなあ。モギレフスキー・・・

私のもっているレコードジャケットとは、違うけど音源は、一緒。
by みどりのこびとちゃん (2011-12-27 23:15) 

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