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イ短調の学習対位法 5声6声7声(ショパン) [ショパン]

【ショパンのこの曲は、どの程度有名か?】シリーズの第5回目、
いよいよ最終回です。
えっ、なんで、こんなシリーズを書いているかって?
それは、第1回(こちら)を読んでくださいな。

第1回は、クラッシックのピアノ音楽ファンで、ショパンの曲の中で、
100人中100人は知っていると私が思っている曲として、
【別れの曲】を書いた。
第2回は、100人中50人程度知っていると私が思っているショパンの曲で
【ポロネーズ 嬰へ短調 作品44】を書いた。
第3回は、100人中10人程度知っていると私が思っているショパンの曲で
【ピアノソナタ 第1番 ハ短調 作品4】を書いた。
第4回は、100人中1人しか知らないだろうと私が思っているショパンの曲で、
【フーガ】を書いた。

さてさて、今日は、100人中0人、
すなわち、ほとんど誰も知らないショパンの曲
を書かなくてはならない。

ピアノファンを100人前にした姿を想像してみよう
困った、困った、困った。
だいたい、前回で、【フーガ】なんて書いたから、書く曲ないじゃあないか・・・

【トリル前奏曲】なんて、無名だが、その筋では、ちょっと話題になった曲だし、・・・
(楽譜が破れていて、誰かが、復元した曲ですよね)

演奏会用アレグロの協奏曲バージョンは、知っている人いそうだし・・・
(VOXレーベルでポンティの演奏でも聴けます)

異版や異稿は、おもしろいが、ありすぎるし、最近本も出て、興味ある人いそうだし・・・
(幻想即興曲の自筆譜バージョンなんて、変わっていてかなり、面白い)

【エオロパンタレオンの為の2つの作品】なんて曲もあるらしいが、
いかんせん、楽譜が消失して、どんな曲かも誰もわからない
(ちょっと調べたら、ショパンの消失作品は、多いみたいですね)

うーん

ここで、ちょっと話題を変えよう。
レスリー・ハワードというピアニストを知っていますか?
一部のピアノ曲ファンでは有名だろう
この人、リストのピアノ曲全集というCDを出している。
このなにがすごいって、この全集、普通にリストが作曲して出版した曲は、もちろん、
その曲の初版や異稿等をすべて録音している。
そして、最後の方のCDでは、リストが書いた、曲の断片(数秒ですね(笑))
も録音している。もはや、マニア以外聴く人はいないだろう
いやはや、これには頭が下がりますね。
(ちなみに、私は、この全集のCD全部は持っていません。なんか貧乏になりそう・・・)
(演奏自体は、可もなく不可もない演奏だと思います。)

おっと、曲の断片!!!
それがあったか・・・ショパンが書いた曲の断片があるはずだ。
早速、ワルシャワの博物館へ行って、見てこよう・・・えっ
うーん、そんな金も時間もない。
では、私の持っている文献や本を片っ端から、調べてみよう。

このブログを読んでいる人で、
1988年に、東京のサントリー美術館で、ショパンの展示会があったのを
知っている人は、はたして、何人いるだろうか?
私は、その展示会に行った。
当時、ショパンのいろいろな自筆譜があったのを覚えている。
ワルシャワの博物館からかなり、めずらしい、ものが、いろいろ来ていた。
その展示会の当時の分厚いカタログがある。

そのカタログをひっぱりだして、見てみる。
おっと、いろいろな有名曲の自筆譜の他に、みたこともない曲の断片があるぞ
(しかし、もうちょっと丁寧に書いてくれればいいのに・・・)

曲のスケッチ(6/8拍子 変ホ長調 8小節)
  うーん、かろうじて、音がわかるかな・・・でも、きたないなあ

曲のスケッチ(3/4拍子 フィギュレーション)
  うーん、あまりのきたなさに、音がなんだかわかりません はい

ドンブロフスキのマズルカのピアノ編曲(1835年)
  ポーランドの国歌にショパンが和声を付けたものですね
  うーん、きたないが、なんとか、音はとれそうだ。でも編曲ものだし・・・

ということで、上記の内の一曲(断片?)でもよかったのだが、
そのカタログには、もう一曲(断片?)あった。
これは、結構丁寧に書かれているので、音はとれそうだ。
それが、今日の曲、
私が、勝手に、100人のピアノファンでは、誰も知らないと思っている曲
【イ短調の学習対位法 5声6声7声】である。
(ちなみに、ポーランド・ワルシャワ・ショパン博物館にあるそうです)

というより、これ曲ではないです。すいません。
どちらかというと、ショパンが和声進行を考えていたスケッチみたいです。

さて、知らない人だらけ(笑)と思われるので、曲の解説です。
曲?は、3曲からなり、
上から、5声、7声、6声の曲で、すべて10小節程度です。
3曲とも、コラール風の和声で、イ短調の主和音ですべて始まり、
7声と6声は、イ長調の主和音で終わる。
ちょっと、ピアノで弾いてみたが、
これを弦楽合奏でやれば、かなり気持ちいい和声進行だ。
低音の四分音符の進行も普通だか、気持ちがいい。
まあ、こうやって、ショパンも勉強していたのかもしれないなあ。
そんな想像ができるスケッチだ。

ショパンの自筆譜は、確かにきたない。
でも、見ているだけで、なにか、想像できて、楽しいなあ

ということで、5回にわたって、書いてきたこのシリーズも終わりだ。
最後の曲?は、みなさんの期待を裏切ったかもしれない。(す、すいません)

しかし、ショパンの曲にもいろいろあるものだ。
今回、ちょっとばかり、ショパンの作品を勉強した、みどりのこびとちゃんでした。

次回からは、普通の音楽日記に戻ります。はい

【追記】 さて、こんなマイナーな曲?断片?に追記です。 この曲を聴きたいというすごくマイナーなリクエスト(本当)があったので、 自分がピアノを弾いて録音してもよかったのですが、 パソコンで演奏させてみました。 まあ、聴いてみてください。 で、ついでに、その楽譜も・・・ イ短調の学習対位法.jpg
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ピアノフォルテ

ええ!!!サントリー美術館でショパン展やってましたか~。
そのころすごくその近くにいたのに・・・・・・・
タイムマシンで行って見たいです。
貴重なご本もあったんですね。
対位法の話とはそれますが、丁度昨日レッスンで、先生と「ショパンは数学が出来たのかなあ~」という話をしておりました。
エオリアンハープの中で短い間にすごくたくさんの移調をそれは美しく効果的にやってのけているということに、びっくり!!
それを味わいながら弾いてくださいって言われました。
よ、余裕がない~!涙

シリーズでの貴重な曲のお話、すごくおもしろいです!
ショパンのこともっといっぱい聞きたいなあ~。
またこの企画その2、期待しておりますね。
by ピアノフォルテ (2007-10-12 11:22) 

なるたる

うーむ脱帽じゃ、こんな曲本当に知らないなあ。
知っている人、多分1000万人に1人もいないと思うぞ。
しかも曲にもなっていない唯の和声じゃねえか。
本当に苦し紛れの反則だぁw。
あたしゃてっきり、構想のあったヴァイオリンソナタのスケッチあたりか何かだと思っていたけど見事にハズレ、それよかずっと酷いやw。

レスリー・ハワードのリスト全集、編曲物を中心に半分ほど持っています。
リスト大っ嫌いなのにねw。
もうどれを聴いても同じ、馬鹿馬鹿しくてこれ以上買う気起きません。

ところで話は全然変わるけど、「クラシックCD 異稿・編曲のたのしみ」の第2弾、「クラシックCD 異稿・編曲のよろこび」が発売されたそうですよ。
マーラーもあるらしいですが、今回はショパン・ラヴェル・ドビュッシーが凄いらしいとの事。
私は注文中ですが、ひょっとしてショパンのとんでもない編曲が混じっているかもしれませんよ。
by なるたる (2007-10-12 22:01) 

みどりのこびとちゃん

ピアノフォルテさん。コメントありがとうございます。
残念ですね・・・せっかく近くにいたに。
結構、ショパンのめずらしいものが展示されていましたよ。

エオリアンハープがんばってください。
確かに、この分散和音の中で転調していますが、
そこまで考えて弾くのは難しいですよね

ショパンのシーズン2(笑)は、考えてみますよ。
by みどりのこびとちゃん (2007-10-12 23:01) 

みどりのこびとちゃん

なるたるさん、反則技ですいません。
でも、間違いなく、100人では、知らない曲?でしょう。

「クラシックCD 異稿・編曲のたのしみ」の第2弾
本屋で見つけたので、即、購入しましたよ。
まあ、私が聴いたことのない編曲は、いっぱいありますね
by みどりのこびとちゃん (2007-10-12 23:03) 

なるたる

なんか突然思い出したけど、私が高校生の時に渋谷の東急文化会館でショパン展+現役ピアニストのショパンの生演奏があったんですよ。

展示物もピアニストの演奏曲目(日本人の女性ピアニストでした)も今じゃ全然記憶にないけど、そのピアニストがある箇所で大きく音を外したのははっきり覚えている。
今思い返すと、バラードか何かだったような気がするけど、一瞬ギクリとしました。
でも、他の聴衆は全然気づいた風もなく、演奏が終わってから盛大な拍手が飛び交っていましたよw。

あと、展示会に来たおば様のグループが、何の関係だが知りませんが、突然「リヒァルト・シュトラウス」の話題になり、頻りに「リチャード・シュトラウス」と言っていたのが強烈な印象となって記憶に残っています。

遠い遠い、遥か昔の出来事です。

その時の展示物には「イ短調の学習対位法」なんて面妖な曲は絶対なかったと断言いたしますw。
by なるたる (2009-08-18 21:03) 

みどりの巨人ハルクくん

早速の音源アップありがとうございます(まずブログというもののしくみがわかっていない私などは、
こんなことがすぐにできてしまうことに驚いてしまう)。
この自筆譜からよくリアリゼーションしましたね。良くも悪くも印刷譜のように楽譜を書く私などは、
いかに自分が敬愛する作曲家のものであろうと、他人の粗雑で読みづらい手稿譜を判読するのは
辛抱たまらん。ショパンのものなんかはまだきれいな方ですが、ベートーヴェンの殴り書きを解読する
研究者などは、オイとかアレとかアーとかウーでものぐさな旦那の意思がわかる奥さんのように、
作曲家に対して献身的で愛情深いのでしょうね。

さて「イ短調の学習対位法」ですが、これはまさしく学習以外のなにものでもない(笑)。
イ短調フーガのような習作でもなく、創造のカケラもありませんが、これはそれでいいのです。
しかし、ことショパンの場合に限っては、これを見たショパンフリークが新曲発見!と騒ぎ出しかねません
(この点が生誕二百年でもろくに盛り上がらない他の二人とは違うところ)。
2つのブーレもポーランド国歌の“編曲”も、ちっともショパンの創造性を反映していないのに、
おせっかいなショパンマニア(あるいはショパン業者)によって「作品」にされてしまいました。
このリアリゼーションが、将来『ショパン全集』のCDのブーレの次のトラックに収録されることが
ないように、警戒が必要です(聴きに来るショパンマニア少なからずいますよ)。

ところで、ショパンの端書きからムリムリ判読してリアリゼーションした変ホ短調の「トリル前奏曲」、
何度聴いても憶えられません。ショパンの垢からショパンを作り出そうとしても無駄です。
でも、ヴァイオリンソナタのスケッチはぜひとも聴いてみたいですね。どこかで取り上げてないでしょうか。
by みどりの巨人ハルクくん (2011-03-09 01:16) 

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