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ラ・チ・ダレム変奏曲(ショパン) [ショパン]

さてさて、暑い暑い日が続いていますが、皆様の体調は、どうでしょうか?
水分補給は、大切です。
こんな時には、涼しくなる音楽という、ベタな選曲でもいいのですが、
実家にあるレコードをちょこっと、聴いたので、今日はその話題だ。
(でも、今日の音楽日記の曲も、暑苦しい曲ではないですよ)

CDが無い時代には、(おおっと、昔々の話ですね)
ショパンのピアノ協奏曲以外のピアノと管弦楽の為の曲を聴こうとしたら、
音源(レコード)を探すのも大変だった記憶がある。

そして、お金もなかったのだが、どうしても、ショパンのこれらの曲が聴きたかったので、
インパル指揮、ロンドンフィル、ピアノのクラウディオ・アラウの3枚組のレコードを
買って、よく聴いたものだ。高かったなあ・・・
(おっと、なぜか、昔話をするおじさんになっている・・・)
ということで、今回、実家で、このレコードを聴いていたのですよ。

今では、いろいろな演奏が、CDで発売されている

2曲の有名なピアノ協奏曲と、
独奏曲でよく弾かれる、アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ以外には、
ショパンのピアノと管弦楽の為の作品は、3曲ある。
   ※ラ・チ・ダレム変奏曲(1827年)
   ※ポーランド民謡による幻想曲(1828年)
   ※クラコヴィアーク風のロンド(1828年)
もちろん、どれも、ショパンの若いころの作品だ。

さて、まずは、【ラ・チ・ダレム変奏曲】のことを書いてみよう。
(多分、続けて、あと、2曲も書きます。乞うご期待・・・)

さて、この曲は、ショパンを演奏家・作曲家として、売り出す?ために、
出版され、そして、演奏された。
ショパンの後年の微妙な和声や、独特の影は、皆無だ。
しかし、作品として、それで未熟ということには、ならないだろう。
若い時代しか書けない、若々しさが光る、魅力的な曲だと思う。

曲は、モーツァルトの歌劇【ドン・ジョバンニ】の中の
「お手をどうぞ」の主題による変奏曲である。(時間は15分ぐらいです)
この主題を用いて、ピアノにしか表現できない音楽をみごとに作曲している。
ちょっと長めの序奏に続いて、(期待させるのですが、なかなか主題が出てきません(笑))
やっと、主題をピアノが演奏し、5つの変奏が続く。
変奏自体は、そんなに凝っていないが、ピアノの扱いは、さすがだ。
最後の部分のピアノの華やかさは、有名なピアノ協奏曲のように見事だし、
それ以外の部分でも、ピアノの音が本当に生きている。
そんな感じだ。

この曲には、「諸君、脱帽したまえ天才だ!」
と言うシューマンの有名な論文があるらしい。
その論文の中で、この曲の批評があり、それには、
 ここは、誰と誰が駆けているとか、
 ここの左手は怒りを表しているとか、
 この音は、キスを表現しているとか・・・
そんなことが書いてあるらしい。

これを読んで、作曲家ショパンは、どう思ったのかなあ・・・
ショパンの手紙には、この論文を読んで、死ぬほど笑った と書いてあるらしい。

ああ、なんとなく分かる気がするなあ。
シューマンも天才だし、音楽批評に関して、すばらしいものは、持っていたとは思う。
しかし、作曲家からしてみれば、確かに、ちょっとこの批評は、恥ずかしいかもしれない。
それに、多分、ショパンは、こんなこと思って書いてないと思うし
(これは、私の勝手な考えです)

まあ、ともあれ、純粋なピアノ音楽として、
ピアノを鳴らして、命をあたえる音楽には、間違いないだろう。
ショパンのピアノと管弦楽の為の音楽では、ピアノ協奏曲だけでなく、
たまには、聴きたい音楽だ。


nice!(2)  コメント(9) 
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コメント 9

Cecilia

リクエストに答えてくださってありがとうございます。
詳しいエピソードがわかり勉強になりました。
シューマンの論文は確かに笑えますね!!
私もそこまで考えて作曲しているとは思えません。
by Cecilia (2007-08-13 18:55) 

ピアノフォルテ

なるほど~。
コンチェルトのほかに3曲もあったんですね。
聴いてみたいです。買わなくちゃ!
勉強になります!
by ピアノフォルテ (2007-08-13 23:36) 

みどりのこびとちゃん

Ceciliaさん、コメントありがとうございます。
シューマンの論文は、もちろん全部読んでませんし、
本に書いてあることの受け売りなのですが、
この変ニ音の音は、キスを表現している。
なんて、書かれた日には、ショパンでなくとも、
笑うかもしれません。
しかし、そこが、シューマンの天才たるゆえんかも・・・・
by みどりのこびとちゃん (2007-08-14 00:41) 

みどりのこびとちゃん

ピアノフォルテさん。コメントありがとうございます。
そう、買って聴いてみてください。
いろいろつまって、どれも15分程度だし、
若い日の作品なの、聴いて損のない曲です。
さすが、ショパン
by みどりのこびとちゃん (2007-08-14 00:43) 

なるたる

こう言うトンチンカンなことばかり言うから、シューマンは笑われるのかなぁ。
ショパンのような絶対音楽の信奉者にとっては、シューマンの過剰なばかりの文学性や標題性は迷惑なだけだったんでしょうね、わかりますその気持ちw。

ところでこの曲、私どう評価すべきか正直迷います。
序奏と終曲はともかく、間の変奏が何というか単純すぎるんですね。
何か捻りがなくて単調で底が浅い。
つまり性格変奏ではなく装飾変奏なんですね。
これはショパンの変奏技法そのものにも言えることで、ショパンは決して変奏曲の大家ではなかったと思います。

全体の印象も何となく浅薄で深みに欠けている気がするなぁ。
でも駆け出しのショパンが自分の演奏技巧を見せびらかす類の曲だから仕方ないか。
名を売るためにはこう言ったショウ・ピースを作らなきゃならない時だって、あるんだから…。
ピアノの派手で華麗な演奏技巧で大向うを唸らせる…おそらくはショパンが嫌悪したリストの曲作りに皮肉にも最も近い位置にいるのが、これら一連の曲だと思いますが如何でしょうか。
by なるたる (2007-08-17 09:01) 

みどりのこびとちゃん

なるたるさんの言う通り、ショパンは、変奏曲の大家ではないと思います。
しかし、ピアノの音での変奏という意味だけにとって言えば、
天才的だと思います。
初期のこれらのピアノの音の変奏は、確かに、
音楽的には、凝っていませんが、
ピアノの音の変奏という意味では、独特だと思います。
この方向で、円熟していっても、ショパンは、かなり、すばらしい作品を
生み出したのではないか、とも、勝手に思っています。
by みどりのこびとちゃん (2007-08-18 00:26) 

みどりのこびとちゃん

追記です。
名を売るためのショウ・ピースの作曲は、
実は、一番大変ではないかと私は、思っています。
自分の美意識の中で、聴衆に受ける曲を書く・・・
これは、きっと、大変だろうな、と、思う、みどりのこびとちゃんでした。
by みどりのこびとちゃん (2007-08-18 00:58) 

早川直希

過去記事を見ていて目に止まったのでちょっとひとこと。
ショパンが「このドイツ人の想像力には死ぬほど笑った」というOp.2の批評は、
シューマンのものではなく、あのヴィーク(シューマンのピアノの師でクララの父、そして二人の恋路を悪魔で邪魔し続けた馬蹴られもののおやじ)の書いたものだということです(時が経っているので、もしかしたらもうすでに何かでお知りになられているかもしれませんが)。ヴィークはOp.2にいち早く感激して(慧眼ではあります)シューマンよりも前に批評を発表し、ショパンのもとへも直接それを送りつけています。シューマンの批評は評論集『音楽と音楽家』(吉田秀和訳 岩波文庫)に掲載されていますが、それほどひどくはありませんよ。
最近、あるピアノリサイタルのプログラム解説を書きましたが、それに含まれているOp.2(ソロ版)の項で、この実情を明かして「二人の生誕二百年のこの機にあえて強調しておきたい」と書いた原稿を提出したのですが、字数の関係もあってその部分はすべてカットされてしまいました。この事実誤認が完全に修正されるのは、生誕三百年に持ち越されそうです。
by 早川直希 (2010-10-08 16:35) 

みどりのこびとちゃん

早川さん、ご指摘ありがとうございます。
いやいや、ちゃんと調べなくてはいけませんね。
なんとなく、ショパンが笑ったというのが それらしいので・・・

そうか、このことは、ちょっと広めるために、このブログでも、
どっかに書こうかしら・・・
by みどりのこびとちゃん (2010-10-08 21:58) 

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