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ゴイェスカス(グラナドス) [グラナドス]

ええっい、今日もスペイン音楽だあ・・・

今日の音楽日記は、グラナドスのピアノ曲の中では、最大傑作と名高い
ピアノ組曲【ゴイェスカス】である。

グラナドスには、このピアノ曲を基にした歌劇もあり、
その間奏曲も有名だが、今日は、ピアノ曲集の【ゴイェスカス】だ。

【ゴイェスカス】というのは、ゴヤの絵の様な風景、という意味だ。
ゴヤの絵に魅せられたグラナドスが、その心を譜面に描いた曲集といってもいいだろう。

グラナドスというと、スペイン風の音楽と思いがちだが、
この曲集は、そんな単純な音楽ではない、どの曲も、とてもとても濃い音楽だ。
全6曲からなり、
すべて、ピアノの技法をこらした(譜面は3段譜だらけです)、
色彩豊かで、なおかつ複雑さと、甘美さが混ざった、なんともいえない音楽だ。
(全6曲では、なく、あと、2曲追加している版もあるが、全6曲の方が断然好きだ。)

第1曲【愛の言葉】
  とても技巧的で、いろいろな愛の表情が見える、
  とびはねたり、愛を語ったり、踊りやダンス、そして、独特な転調。
  右手の華麗なアルペジォで左手が旋律と伴奏の部分もすばらしい。
  そして、いいなあ、このかっこいい終わり方。

第2曲【窓辺の語らい】
  とても濃い愛の情熱の音楽だ。
  楽譜は複雑だが、その中から浮かび上がる旋律のなんと、香ることか
  最後のクライマックスで
  右手オクターブのフォルテ旋律にからみあう、左手のアルペジォ。
  急にリズミックになって、そして、印象的な静かなアダージョの終わり方

第3曲【ともしびのファンダンゴ】
  特徴的なリズムに乗って、歌い、踊る。
  しかし、どこか雰囲気は、華やかではない。

第4曲【嘆き、またはマハと夜うぐいす】
  この、しみじみ歌う音楽。そう、夜の音楽だ。
  苦悩もある。
  そして、最後の幻想的で、とても美しい、印象的な透明なウグイスの声
  ここは、とてもすばらしいと思う。
  しかし、ピアニシモで歌う旋律は、とても難しいと思うなあ。

第5曲【愛と死】
  この曲は、この曲集の中では、傑作といわれている。
  しかし、一回聴いただけでは、わからないかもしれない。
  でも、何回も聴いてほしい。そうすると、はまる音楽
  ワーグナーのあの有名な曲とは、リズムは似ているが、別次元の音楽だ。
  愛の情熱と苦悩と悲しみ・・・イメージは、膨らんでいく・・・
  
第6曲【エピローグ=幽霊のセレナーデ】
  最初は、リズミックに飛び跳ねる音楽だが、
  そのうち、亡霊のような、とらえどこのない、音楽が続く。
  急に明るくなっり暗くなったり、ても色彩的な音楽。
  そして、鐘の音が聞こえ、音楽は、消えていく・・・

音楽もいいが、このピアノ曲は、譜面を見るだけでもとても楽しい。
いわゆる、譜面から、音楽の風景が見える。
そんな曲だと思う。
(でも、実際にこんな曲が弾ける人、いいなあ・・・あこがれますね)

スペインのピアノ音楽の中では、最高峰の一曲だと勝手に思っています。


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コメント 8

NO NAME

私は第4曲と第5曲が特に好き。
こういう官能的で脳髄の奥を刺激するメロディは、ドイツロマン派からは
決して出てこないと思います。
勿論私の嫌いなフランス音楽からもね。
by NO NAME (2007-07-01 23:54) 

みどりのこびとちゃん

おお、第4曲と、第5曲ですか。
またまた、濃い音楽ですね。
確かに、脳の奥を刺激するという感じです。
by みどりのこびとちゃん (2007-07-02 23:24) 

なるたる

実はこの曲のオペラ版があることを、数年前古巣の掲示板で知りました。
作曲家自身の手になるもので、1時間にも満たない作品らしいですが、是非聴いてみようと思いながら、今でも聴けず終いです。
とりわけ「愛の死」がどう響くか、非常に興味のあるところです。
是非手に入れてみようと思います。

と言いつつも、今マイアベーアのオペラ「ユグノー教徒」を聴いています。
シューマンが、「こいつに死を!」と彼の論評の中で罵倒したマイアベーアの音楽の一つで、非常な大当たりを取ったグランド・オペラすが、私にはそんな酷いものとは思えない。
軽いけれど、結構楽しいです。
コラール「神はわがやぐら」のテーマが全編を貫いています。
タールベルクも自作の幻想曲で取り入れたあのテーマです。

大体シューマンは、アルカンの音楽をさえ「偽りの芸術」と言って貶していたくらいですから、あんまり的確な批評眼があるとも思えないw。
ブラームスを見出した眼力は大したものですがね…。

時代は、とうの昔にシューマンの理想とする音楽世界の秩序・調和を追い越しました。
by なるたる (2009-08-20 20:15) 

なるたる

と思ってみどりのこびとさんの記事を良く見たら、すでにオペラには触れていましたorz。
by なるたる (2009-08-20 20:19) 

みどりのこびとちゃん

ゴイェスカスの「間奏曲」は、結構、雰囲気が好きです。
ただ、オペラ全曲は、聴いたことがありません。

マイアベーアの音楽をシューマンが嫌ったのは、わかる気がしますね。
マイアベーアの音楽は、きっと、底が浅いと感じたのかもしれません。

話変わって、次回のマンドリンの演奏会のオープニングは、
マイアベーアの戴冠式行進曲なんだなあ・・・
by みどりのこびとちゃん (2009-08-22 01:00) 

どもわこ

私もグラナドス、大好きです。彼本人が弾いているピアノロールのCDを聴いたりしています。実は最近、子供時代に5年間習って、やめてしまったピアノ、再開したんです。その理由が、このゴイエスカスの第4曲を聞いたことから。いつかこれを弾いてやると思って譜読みをしています。4月から始めて3カ月、いま3ページ目という超スロースピード、まさにカメの歩み(笑)
予定では3年後に弾けることになっています。ガハハ、ですね。
by どもわこ (2010-06-17 13:32) 

みどりのこびとちゃん

どもわこ さん、コメントありがとうございます。
うーん、この曲は、いい雰囲気もってますよね。
ピアノがんばってください。
3年、短いですよ(笑)
私なんか、ラフマニノフの「鐘」何年がかりで、練習したことやら・・・
by みどりのこびとちゃん (2010-06-17 23:34) 

どもわこ

ガーン、3年、短いですか。そう、短いですよね、多分。でも、「鐘」が弾けるなんてすごいですね。私もみどりのこびとさんを習って、頑張りもま~す。
by どもわこ (2010-06-18 14:18) 

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