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死の舞踏(リスト) [リスト]

さて、今日の音楽日記は、ピアノと管弦楽の為の音楽としては、
たぐいまれな表現力で、音楽が迫ってくる傑作だと、私が思っている曲だ。
リストが作曲した、【死の舞踏】というピアノと管弦楽の為の曲である。
(サンサーンスにも同名の傑作交響詩がありますね。)

さて、死の舞踏とは、14世紀~15世紀の寓話で、
死の恐怖から半狂乱となり、踊り続けるという話で、
それには、死は身分の差なく、いつかは、やってくるという思想もあるらしい。
(詳しくは、ネットで調べてくださいね)
そして、これを基にした絵画も昔には、数多く書かれている。

このリスト作曲の【死の舞踏】は、イタリアのピザにある教会の絵をリストが見て、
その時の印象を音にしたものと言われている。
(なんの絵かは、いろいろ説があるらしいが、
 死の恐怖を表現した絵であることは間違いないらしい。)
そして、この曲は、グレゴリオ聖歌の【怒りの日】の旋律の変奏曲となっている。
(あの有名な旋律ですね。 ドシドラシソラ ドレドシラソシドシラ・・・)

さて、曲である。
冒頭、ピアノの低音とティンパニーの重々しいリズムの上で、
「怒りの日」の主題が不気味に、しかし堂々と演奏される。
そして、死のイメージが強烈に表現された変奏が始まる。
第4変奏で、ゆっくりしたカノンとなり、
第5変奏で、フーガ的な展開をみせる。(この部分は、特に印象的です。)
そして、その後、ピアノの技巧の限りを尽くし、曲は、クライマックスで終結する。

リストのピアノ曲というと、どちらかというと、
技巧的で、明るく華やかなイメージがあるかもしれない。
しかし、この曲は、リストのピアノ技法が、よい意味で、発揮されており
たぐいまれな、それこそ、悪魔的な表現力をもった曲だと思う。

ところで、この曲の最終稿ではなく、
第二稿と呼ばれる版を聴いたことのある人は、少ないかも知れない。
第二稿では、最後が大幅に違っており、
死から救済するような、賛美歌にも似た聖歌?が静かに演奏されたあと、
いったん、救済されるかのようなイメージになるが、しかし、
最後は、強烈なクライマックスのピアノと管弦楽の音楽となる。

うーん、こっちの方が、ちょっとだけ音楽のイメージは、深いかも・・・

この曲は、決して、表題音楽ではない。
特に【死の舞踏】という題名のイメージをもたなくてもいいと思うのだが、
このピアノと管弦楽の音楽は、「怒りの日」を使った為かもしれないが、
とても強烈な印象を受ける曲だと思う。
この曲を聴いて、どんなイメージを思うかは、人それぞれだとは思うが、
決して、安易なイメージではないと思う。


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コメント 12

Cecilia

「悪魔のヴァイオリン」(ANALEKTA)で聴いたことがある・・・と思っていたら、それはサン・サーンスの曲でしたし、全く別物で曲想も違います。(おもしろいCDなので是非聴いて下さい!)
リストの「死の舞踏」は今初めて聴いています。(スリル満点の映画音楽みたいなイメージですね。)

シューベルトはじめ”死”がテーマの音楽が今気になっています。
by Cecilia (2007-05-30 14:46) 

みどりのこびとちゃん

ちぇりこさん。nice!ありがとうございます。
by みどりのこびとちゃん (2007-05-30 22:01) 

みどりのこびとちゃん

Cecilia さん。コメントありがとうございます。
リストのこの曲は、確かに、
映画のゴジラかモスラが出てきそうな曲?です。
しかし、外面的な曲ではあるのですが、表現力を持った曲だとも思います。

「悪魔のヴァイオリン」ちょっと聴きました。おもしろいです。
リストのメフィストワルツをヴァイオリン一台で弾いているのを
初めて聴きました。
by みどりのこびとちゃん (2007-05-30 22:04) 

なるたる

例のヴァレンティナ・リシッツァの演奏する死の舞踏のピアノ独奏版がyoutubeにありましたよ。

http://jp.youtube.com/watch?v=QUMR_D6G_Sw

相変わらず凄い演奏で、ビジュアル的にも美しいです。
グリサンドがむちゃくちゃ格好良いです。
by なるたる (2008-01-24 08:50) 

なるたる

サン=サーンスの死の舞踏とどちらも不気味さでは甲乙つけ難い。
あちらは骸骨踊り、こちらは怒りの日、どちらも禄なもんじゃござんせんw。

でもリストと違ってサン=サーンスの音楽は私は好きw。
旋律が美しくて分りやすいから親しみが持てちゃいます。

交響詩では「若きヘラクレス」・「オンファールの糸車」・「フェアトン」。
オペラ「サムソンとデリラ」も美しい旋律の宝庫です。
声楽曲も綺麗な旋律のものが多いのに意外に知られていない。
「レクイエム」は割と有名ですが、最近聴いて感動したのはオラトリオ「ノアの洪水」。
これ大変劇的でかつ美しい。いっぺんで気に入りました。

その他の管弦楽付き合唱曲では、「鼓手の許婚」・カンタータ「夜」・「竪琴とハープ」なんかも大変美しく心に残る曲でした。



by なるたる (2008-04-16 15:18) 

みどりのこびとちゃん

サンサーンスのレクイエムは、CDも買いました
すごく美しい曲ですね。

うーん、他の曲は、知らない・・・まだまだ勉強不足です
by みどりのこびとちゃん (2008-04-16 23:25) 

なるたる

サン=サーンス編曲による、「二台のピアノのためのショパンのピアノソナタ第2番」と言う強烈なゲテモノを入手しました。
何でも原曲にはない対旋律が魅力だとかw。

まだ未聴ですが、興味津々です。
いずれみどりのこびとさんがこの曲をブログで取上げた時に、感想を入れましょうかね。


by なるたる (2008-04-17 17:44) 

みどりのこびとちゃん

サンサーンス編曲のショパンの第2ソナタ!!!
それは、是非、私も聴きたい。
というより、探してみます。
おもしろそう・・・・ワクワク
by みどりのこびとちゃん (2008-04-20 01:23) 

なるたる

これですよ。
コルトーは「白痴的仕事」と酷評したとありますw。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/984734
by なるたる (2008-04-20 11:29) 

なるたる

ついでに言うと、このピアノデュオによるメンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」の4手版も世界初録音で面白かったです。
よろしければ、併せてどうぞw。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1241395/ref=984734
by なるたる (2008-04-20 11:39) 

なるたる

更に言わせて貰うと、Duo Crommelynckによるドヴォザーク「新世界交響曲」・スメタナ「交響詩 モルダウ」の4手版は掛け値なしの絶品です。
これは大分昔に発売されたものの再販ですが、初版当時購入して、あまりの素晴らしさに絶句した記憶があります。
特にモルダウの後半部のピアノの走句の煌きは特筆ものです。

残念ながらこのDuo(日本人女性とフランス人男性の夫婦)は相次いで謎の自殺を遂げてしまい、「心中か?」、と一時は新聞ダネにもなりました。
もう大分昔の話です。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/70482/ref=1241395
by なるたる (2008-04-20 12:01) 

みどりのこびとちゃん

ははは、まずは、とにかく、
サンサーンスのショパンの編曲を聴いてみます。
感想は、この音楽日記で・・・
by みどりのこびとちゃん (2008-04-20 23:25) 

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