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夜想曲 第19番 ホ短調(ショパン) [ショパン]

今日の音楽日記は、ショパン作曲のピアノ曲
【夜想曲 第19番】である。

ちなみに今日の音楽日記は、
かなり私個人の、いいかげんな考えが入っているので、気を付けて読んでくださいね(笑)
(前回の記事を読んで、今日の日記を読まれることをお勧めします。なぜかはお楽しみ・・・)

ここで、この曲には関係ない話ですが、
ショパンの作品は、イタリアのオペラ作曲家ベルリーニに影響を受けた
という話を知っていますか?
ここで、突然、クイズです。
以下の文章のうち、明らかに間違っている文章は、どれでしょうか?
指摘して、またその理由も述べなさい。(って、テストじゃないんだから・・・・)

***************************************************************************
1.ショパンとベルリーニは、パリの女流歌手のもとで、初めて会い、その後、ずっと友達だった。

2.ベルリーニのオペラ「ノルマ」をパリで見て、ショパンは、涙を流した。

3.ベルリーニのオペラ「夢遊病の女」や「ノルマ」の美しいベルカントの旋律は、
  ショパンの夜想曲やピアノ協奏曲の第2楽章に影響を与えたといわれている。

4.ショパンは、リストなどと一緒に「ヘクサメロン」というベルリーニのオペラ「清教徒」の主題による
  変奏曲を作った(ショパンの作曲部分は夜想曲風)

5.ベルリーニの葬儀で、ベルリーニを棺に納めたのは、ショパンである。

6.ショパンとベルリーニは、最初は、同じ墓地に埋葬されていた。
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答えは、今日のブログの最後で・・・

さてさて、話をもとにもどそう。
今日の音楽日記は、ショパン作曲の【夜想曲 第19番】である。

この曲、ショパンが17歳(1827年)に作曲したもので、
それまで、ポロネーズやマズルカ等の小品を作曲はしていたが、
甘美で、叙情的なショパンの夜想曲の特徴を持った最初の作品である。

曲を聴いてみよう。

左手は、ずっと三連符のおだやかなアルペジォ。
その上に右手が、歌うような甘い甘い旋律を奏でる。
ある意味、この数年後に作曲された、
有名な夜想曲 嬰ハ短調(あの、戦場のピアニストの映画で有名ですね)
より、甘美なメロディかもしれない。

確かに、後年のショパンのあの独特な和声の上で歌われる夜想曲には、
音楽性では及ばないかもしれないが、この曲には、その発芽があると思う。
そう、17歳のショパンは、すでにこの雰囲気で、
ピアノを歌わせることができたのだ。

シューマンが言うまでもなく、天才だ。

***************************************************************************
さて、クイズの答えである。

1.そう二人は、パリで会い、ずっと友達だったらしい。
2.本当かどうか分からないが、涙を流したらしい。
3.これは、明らかに間違い。
4.そう、当時の作曲家5人の合作ですが、ちょっと、ちょっとちょっと、ぐらいの曲かなあ(笑)
5.本当らしい。
6.現在は、別々だが、最初は、パリのベール・ラシェーズ墓地に二人とも埋葬されていた。

「ベルリーニのオペラ「夢遊病の女」や「ノルマ」の美しいベルカントの旋律は、
 ショパンの夜想曲やピアノ協奏曲の第2楽章に影響を与えたといわれている」

そう、これは、明らかに間違いですね。
ショパンの2曲のピアノ協奏曲が作曲されたのは、1829年と1830年。
ベルリーニのオペラ「夢遊病の女」と「ノルマ」の作曲は、1831年。
作曲年代からいって、これは、あり得ないことですね。

あれっと、ここで、みどりのこびとちゃんは思うのだった。

よく、
「ベルリーニのオペラの美しいベルカントの旋律は、
 ショパンの甘美な旋律に影響を与えたといわれている」
と書かれている本がある。これも本当かなあ・・・

ベルリーニ最初のオペラは、「アデルソンとサルヴィーニ」(1825年作曲)で、
二作目は、「ビアンカとジェルナンド」(1826年作曲)だか、
この二作は、習作で音楽院の時の作曲。

1827年に作曲された「海賊」というオペラで初めて、成功している。

あれっ、1827年というと、ショパンは、最初の夜想曲を作曲している。
(そう、今日の音楽日記の曲、第19番といわれているものですね)
そして、その夜想曲の旋律は、後期のショパンのあの甘美なメロティをすでに予感させる。

ここで、まったく、音楽的には、確証もなく、おこられるかもしれないが、
いいかげんなことを言ってみよう。

「ショパンとベルリーニは、大親友で、互いの音楽が好きだったが、
 両者共、音楽では互いに影響を及ぼすことはなかった。」

ひょっとしたら、こうだったのかもしれないなあ。

私には、ベルリーニの音楽とショパンの音楽が一緒とは、思えないのですよ。
なんとなくですが、旋律や和声や音楽全体のイメージが違うのです。
(ショパンは、ともかく、ベルリーニは、最近いくつか聴いただけですが・・・)
(す、すいません。根拠がないといわれればそれまでなのですが・・・)

と、今日の音楽日記は、ちょっとまじめだが、ちょっと根拠も薄い日記でした。


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コメント 11

Cecilia

やはりショパンでしたね。
ベッリーニとの関係をみどりのこびとちゃんならではの楽しい解説で書いていただき、今までのもやもやも晴れたような気がします。
「ビアンカとジェルナンド(フェルナンド)」の中の曲ですが、以前「音楽に寄す」で書いたと思いますが「音楽教師」(ANALEKTA)に入っています。
これは非常に美しい曲で、この曲ならショパンに近い気もしなくはないです。(でもやっぱり無理が・・・?)
ベッリーニの一番若いときの作品といえば11歳(確か)の時の「蝶々」ですね。私の記事に載せたチェチリア・バルトリのCDに載っていたと思います。
by Cecilia (2007-01-21 07:38) 

みどりのこびとちゃん

この記事で、もやもやが晴れましたか?
かえって、もやもやさせたかも、と思っています(笑)

「音楽教師」というと、あのごっちや混ぜの不思議な選曲のCDですよね。
もちろん、ナクソスで聴きましたよ。
蝶々もこの記事を書くために聴きました。
この曲は、なかなか、単純でいいです。(ベルリーニらしさはないですが、)

しかし、ベルリーニをいろいろ、聞きかじっていて、
私は、ベルリーニのオーボエ協奏曲が昔から好きなことを思い出しました。
こんど記事にしようと思っています。
by みどりのこびとちゃん (2007-01-21 23:28) 

FUMIKO

ピアノおばさんと申します。得意で専門は現代音楽ですが。みどりのこびとさんが、ものすごく色々詳しくて、ピアノ曲に関してまたすごくて、ピアニストである私も恐れ入りました!て感じです。時にのぞかせていただきます。
ロマン派は・・・すきですが、私がショパン等を弾くと、変!とよくいわれるので、レパートリーは20世紀以降にどうしてもなってきたのです。どんどん書いて下さいね。
by FUMIKO (2007-01-22 18:54) 

みどりのこびとちゃん

ピアノおばさんFUMIKOさん、コメントありがとうございます。
専門は、現代音楽ですか。
みどりのびとちゃんは、実は、現代音楽も好きなのです(本当)
というより、嫌いな音楽があまりないのですが・・・・

では、いつか、叩きつける現代音楽のピアノ曲も書いてみます(笑)
でも変なショパンもいいと思うけどなあ・・・
by みどりのこびとちゃん (2007-01-22 21:33) 

みどりの巨人ハルクくん

交響的練習曲のコメントに案内されてこちらへ来ました。
あいにく私はベルリーニの音楽に全く詳しくないので、ショパンの創作との
関係について何もコメントできませんが、こびとさんが言われるような疑問は
持って当然と思います。

以前FMの『名曲のたのしみ』で、吉田氏がショパンの幻想曲を紹介している時に
「この曲はリストのロ短調ソナタから影響を受けているんじゃないか」と言ってました
――さて、これもこびとさんのクイズにあるような間違いです。ショパンの幻想曲の
作曲出版は1841年、リストのソナタの創作は1852年からですので。これは吉田氏の
勘違いとは思いますが、基本的な認識が問われます(番組スタッフもなぜ
気づかなかったのかと思います)。しかし、この見解は同時にこれらの楽曲に関する
吉田氏の直感の鋭さも示しています。両者とも「ソナタ中ソナタ」の構成なの
です。幻想曲の形式構成については次著で明らかにします(今はネタバレ防止)。

結論 評論家の言うことは時にあてにならず、鵜呑みにしてはいけないのです。
なんて、他人のことを槍玉に挙げている場合ではない。数日前に、こびとさんの
行きつけ店の楽譜コーナーで渋柿色の楽譜(なぜかポピュラーな曲を収めたもの)
の解説を立ち読みしていて、またひとつ既著の重大な誤りを発見してしまいました。
結果としては間違ってはいないのですが、私の資料収集と検討の姿勢が問われる
ことになります。これも、評論家たちの記述に頼って、第一次資料に自分で
当たることをしなかった結果です(作曲家自身の手紙など、楽譜以外の資料に
直接当たるのは、私の能力と立場では困難・・・)。なので、今は少々ウツです。
(長文ご容赦)

by みどりの巨人ハルクくん (2011-01-30 18:46) 

みどりのこびとちゃん

ハルクさん、再コメントありがとうございます。
まあ、評論家の言うことを 100%信じることは、
よくないとは、思いますが、
プロの評論家も大変ですよね(ハルクさんも含めて)
音楽からだけの推論をして これは、確実だ思ったら
実は、こんな手紙があったよ とか

まあ、音楽は、芸術ですから、
少しはその人の意見があってもいいとは思いますね。

ちなみに、全然関係ないけど、
私、「こうもり序曲」の最初の音は、シャンペンを開ける音
と、どの本にも書いてあるけど、信じていない人です。
(根拠がわからないし、オペラの中の旋律では、この音形は、
 別の意味だし・・・)
ははは、でもね、こういうのを堂々と書けるのは、素人の強みです。
プロだったら、書けないかも・・・








by みどりのこびとちゃん (2011-01-30 22:31) 

みどりの巨人ハルクくん

ショパン研究者のエーデルディンゲルの近著『ショパンの響き』に、
ショパン作品のベルリーニのオペラからの影響について論じた一章があります。
前に読んだのですが、最近読んだものには記憶がないことが多く(トシですから)、
先日上野の資料室に行ったので読み直してきました。
大見出しを付けて一章を当てているわりには実証的な追究が乏しいと思うのですが、
著者はOp.15-1のノクターンをベルリーニからの影響の実例としてあげています。
《夢遊病の女》と《ノルマ》が1831年のものなので、同じ頃に作曲されたOp.15-1が
その影響を蒙っているとのことですが、私は例によってなんとも言えません。
機会があったら読んでみてください。

その章では、むしろ幻想即興曲の版と未刊行に関する問題になぜか多くの紙幅が
さかれていますが、これについては私の既著と、次回著中の『二つの幻想即興曲』
の章を参考になさってください(なんつって)。
ちなみに、上野の資料室には私の本も収蔵されていて、これで
今現在理解されなくても将来には・・・という期待が持てます。
バイトの仕事柄各地の図書館に立ち寄ることも多いのですが、
たまたま自分の本があると、譜例の書き落とし(音符の旗を書き忘れていたり、
フラット記号がなかったり)を人知れず修正します(どこにミスがあるかは、
すでにご存知かと思います)。
by みどりの巨人ハルクくん (2011-02-26 21:50) 

みどりの巨人ハルクくん

追記 私はOp.15-1のノクターンには幾分物足りなさを感じるのですが、それは
主部の旋律が「歌」の様式であり過ぎて、器楽性に欠けるからかと思います。
この曲がベルリーニのベルカント的要素を取り入れて書かれたのであれば、
その影響はあまり良い作用を及ぼしてないように思えます。

ショパンがもしベルリーニから多大な影響を受けていたなら、
その作品群に現在認められるような完成度の高さはなかっただろう
というのが、現時点での私の考えです。
by みどりの巨人ハルクくん (2011-02-28 12:40) 

みどりのこびとちゃん

ハルクさん、コメントありがとうございます。
そうですね、私も、ショパンとベルリーニの音楽には、
たがいに影響は、なかったかな という考えです。
(全然、根拠ないけど・・・)

上野の資料室ですか、ずいぶん前に行ったような気が

全然関係ないけど、
先日、ある本屋(結構大きい)で、
音楽ジャンルの棚の隅の方に、名ミスの本があったので、
見やすい、真ん中に ちょっと前に出して場所を移動しましたよ(笑)

by みどりのこびとちゃん (2011-03-01 00:08) 

みどりの巨人ハルクくん

再度お礼致しておきましょう(笑)
ショパンがピアノソロに編曲したベルリーニの《カスタ・ディーヴァ》が、
なんとユーチューブにアップされていました。
これはかのコビラニスカの作品目録には記載されているようですが、
これこそとんでもないレアもの! 専門の研究者でもなければ楽譜を入手できないと
思うのですが。

http://www.youtube.com/watch?v=V20RrvpdOV8&feature=related

偽作とされている《忘れられたノクターン》(聴いてみて私も偽作だと思った)も
演奏しているこの人は、一体何者なんでしょうか。今もって個人コレクターのエゴに
閉ざされているロ長調のワルツもなんとか引っ張り出してきて
われわれに披露してほしいものです。
by みどりの巨人ハルクくん (2011-03-06 02:35) 

みどりのこびとちゃん

この曲、初めて聞きました。
確かに、作品目録には、1831年作曲未出版とあります。

すごい時代になったものです
by みどりのこびとちゃん (2011-03-06 22:53) 

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