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【ペトルーシュカ】からの3楽章(ストラヴィンスキー) [ストラヴィンスキー]

さて、いきなり、問題です。
次の文章を読んで最後の問いに答えなさい。
(ちなみに、のだめカンタービレ を見ていない人は、飛ばしてね)
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彼女は、ピアノコンクールに出場していた。
一曲目のシューマンのピアノソナタ第2番は、なんとか弾けた。
次は、ペトルーシュカからの3楽章だ。
練習は、まったくしていない。しかし、コンクールに優勝するんだ。
頭の中には、すべて音楽が入っている。
彼女は、弾き始めた。
順調だ。
しかし、一瞬、バスの中の音楽が頭に浮かんだ。
途中で、止まった。
頭の中が真っ白になった。
・・・長い沈黙・・・
そして、彼女が弾き始めたのは、ペトルーシュカ風「今日の料理のテーマ」だった。
聴衆は、「あれは、今日の料理のテーマだ」とざわめく。
彼氏は、「作曲している、なんで、今日の料理のテーマなんだ。ダメだな」と思った。
しかし、フランス人の審査員は、思った。
「あれっ、なんであの子は、・・・・・・を弾いているのだろう」

ここで、問題です。・・・・・・には、なにが入るでしよう?
答えは、ブログの最後で。
(あのですね、答えは、そんなに凝っていませんし、多分おもしろくないです。
 しかし、私、テレビ見ていて、その時、そう思ったのですよ)
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さて、テレビドラマでは、のだめがコンクールで弾いた?曲。
そう、今日の音楽日記は、ロシアの作曲家ストラヴィンスキーが作曲したピアノ曲、
【ペトルーシュカ】からの3楽章 である。

さて、この曲は、どんな曲だろう。
いつものように、ちょっとだけ、まともな解説をしてみよう。

【いままでにない難しい曲を書いてくれ】
この曲は、大ピアニストのアルトゥール・ルビンシュタインが、
ストラヴィンスキーに新曲を依頼して、書かれた曲である。
その時のピアニストからの要求が「いままでにない難しい曲を書いてくれ」だった。
そのため、技巧的には、非常に難しい。
しかし、依頼人は、いつの世もわがままだなあ・・・

【原曲のバレエ音楽の五倍の収入】
そう、この曲の基となったのは、作曲者自身のバレエ音楽であり、
管弦楽の原曲は、色彩豊かな曲である。
しかし、このバレエの作曲料よりこのピアノ編曲でその5倍もの収入があったそうである。

さて、真面目な解説(どこが)は、このくらいにして、
曲の解説だ。

さて、このピアノ曲は、
【ロシアの踊り】【ペトルーシュカの部屋】【謝肉祭の日の夕方】からなる。

冒頭の【ロシアの踊り】のテーマをピアノで、
踊り出すように、はっきりとリズム感よく弾く。
もうこれだけで、この曲に引き込まれる。すばらしい出だしだ。
そう、この【ロシアの踊り】は、リズム感にかかっている。
しかし、和音もすべて鳴らさなくてはいけない。

そして、難所は、いろいろやってくる。
【ペトルーシュカの部屋】では、ピアノの難しい技巧の上で、
人形のいろいろな表情を表さなくてはならないし、
終曲の【謝肉祭の日の夕方】は、純粋に技巧だけでも、とても難しいのに、
次から次へと、旋律が超絶技巧の上を跳ね回り、そして、ロシア風民謡が歌たわれる。

そう、とてもピアノ曲として、演奏効果の上がる曲だ。
不思議なのは、管弦楽で原曲のバレー音楽を聴くと、
もちろん、音楽は、ピアノ以上に色彩豊かなのだが、
それはそれ、別の曲に聞こえてくる。

この【ペトルーシュカ】からの3楽章という曲は、独立したピアノ曲だと思う。
そして、超一流のピアノ曲だ。(私は、手がまったくでないけど・・・)

さて、この曲を語るときには、
どうしても、避けては通れない名演がある。

それは、1971年に録音された、
名ピアニスト、ポリーニのレコードである。(CDでも出てます)

これほど、完璧に音が鳴って、完璧なリズムで、完璧に譜面を鳴らしている演奏には、
滅多におめにかかれない。スピード感もすばらしい。
私も、このレコードを聴いた時には、衝撃を受けたものだ。
(カップリングのプロコフィエフのピアノソナタ第7番もすごかったのだが・・・)
どんな本でもこの曲のベストには、必ずこのポリーニの演奏が出てくる。

しかし、しかし、である。もちろんポリーニの録音は、すばらしいのだが、
このポリーニの演奏しか聴いたことのない人には、

ちょっと、冷めた演奏のベロフや、
リズムがちょっとぎくしゃくしても、すばらしい味をだしているチェルカスキーや、
ロシアの踊りだけなのだか、
シャープにちょっとロマン的に、2分16秒で弾ききっている ホロヴィッツなど
別の演奏を是非聴いてほしい。

そこには、完璧だけではない、すばらしい音楽が、いろいろある。

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さて、最初の問題の答えです。
そう、日本のテレビ番組を見ていない、フランス人の審査員は、こう思ったはずだ。
「あれっ、なんであの子は、アルヴェーンのスェーデン狂詩曲を弾いているのだろう?」

えっ、この曲、知りませんか?
結構有名な曲だし、旋律が今日の料理のテーマにそっくりなので、有名です。
知らない人は、是非聴いてみてくださいね。
ちなみに、この日記では、
過去にこの曲を記事にしています。

すいません、あんまりオチがない答えで・・・(笑)


nice!(3)  コメント(18) 
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コメント 18

Cecilia

そうか~そんなオチになるなんて!
確かにフランス人は「今日の料理」を知らないでしょうね。
その曲は全く知りませんでした。
それにしても曲の知識が豊富なのに驚きます。

私はペトリューシカは上野真さんのリサイタルではじめて聴きました。
上野さんのHPhttp://www16.ocn.ne.jp/~m_ueno/index.htmlで新しいCDの試聴が出来、その中にペトリューシカもあるのですが、残念ながらドビュッシーの12の練習曲しか試聴できません。
その時は現代曲ばかりでしたが、全部楽しく聴けた・・・という記憶があります。他はバルトークとかだったような・・・。ゴイェスカスという曲があったと思います。聴いたことありますか?

又このバレエはご覧になったことありますか?
BSでチラッと見た記憶があります。
このお話は子供の時、バレエ物語という本の中に入っていて、何度も読んでいました。(何となくレオンカヴァッロのオペラ「パリアッチョ(道化師)」に似ているような・・・。)

それにしても「今日の料理」が入った曲のイメージで定着してしまいそう・・・。(私も・・・)
by Cecilia (2006-12-29 01:03) 

みどりのこびとちゃん

Cecilia さん、コメントありがとうございます。
ゴイエスカスは、聴いたことがありますが、バルトークではないですね

ペトルーシュカのバレエは、見たことが残念ながらないのです。
悲劇で、最後は、ペトルーシュカが亡霊で立っているらしいです。

アルヴェーンのスェーデン狂詩曲第一番は、
ぜひナクソスで聞いてみてください。
今日の料理 そっくりですよ(笑)
by みどりのこびとちゃん (2006-12-29 23:09) 

Cecilia

最近、NAXOSを聴こうとするとプロトコルがどうのこうの・・・とか出てきて聴けないのですが、どうしたらよいかわかりません。原因を究明中です。

来年も素敵なブログを楽しみにしています。
良いお年をお迎えください。
by Cecilia (2006-12-30 11:12) 

みどりのこびとちゃん

NAXOSが聴けないのは、こまりましたね。
まあ、聴けるようになったら、聴いててくださいね。

来年もよろしくお願いします。
by みどりのこびとちゃん (2006-12-31 14:59) 

ピアノフォルテ

バレエ、テレビで森下洋子さんが出ているもので見た記憶があります。
物悲しいバレエでした。(ペトルーシュカの顔がいつも悲しそうです。
あ、メイクのせいですね)
ニジンスキーとストラビンスキー、天才同士のぶつかり合いだったのでしょうね。凄い時代だったんだなあ・・・と想像しています。
「春の祭典」もその時代にパリで観てみたかったです!
by ピアノフォルテ (2007-01-01 10:46) 

みどりのこびとちゃん

本当に、そのころのロシアの芸術家は、すごかったと思います。
春の祭典の初演は、
タイムマシンがあれば、絶対に聴きたい一つですね(笑)
by みどりのこびとちゃん (2007-01-01 21:15) 

かおる

アルヴェーンのその曲は知らないです。是非聴いてみたいです。

ペトルーシュカの楽譜をDLして数小節弾いてみましたが・・・。地獄の曲ですね。和音の連打とか、そりゃ、難曲ですわな。のだめはよく弾けるなあ。すごい!なんとかシューマンソナタと喜びの島を弾けるようにしたいものです。はい(なんのために?・笑)まあ、元々弾きたい曲なんですが・・・のだめごっこしたいじゃないですか。シューベルトソナタも弾かなきゃ!
by かおる (2007-01-04 13:29) 

みどりのこびとちゃん

かおるさん、ナクソスの無料試聴で、この曲の旋律が聴けますよ。
http://ml.naxos.jp/
から、無料体験で入って、 BIS-CD-725  でカタログ番号検索すると、
一曲目です。是非聴いてくださいな。

「のだめごっこ」 うちでもやっています。
娘が、ラフマニノフの最初の部分をフォルテで弾いて、私が、
ピアノのところをフォルテで・・・と千秋風に言うとか、
2台のピアノのソナタの2小節で間違うバージョンとかして、遊んでます
(まともには、弾けませんから・・・ハイ) 
by みどりのこびとちゃん (2007-01-04 21:24) 

かなぱぱ

>それは、1971年に録音された、
>名ピアニスト、ポリーニのレコードである。(CDでも出てます)
確か、ポリーニが音楽活動再開後の第一作目ですよね。当時の批評のほとんどは、初めて黒船を見た人々のような感じでした。ポリーニの演奏の凄さもさることながら、ポリーニの演奏以前にこの曲を聴いたという人はほとんどいなかったような気がします。ちなみにポリーニの演奏は一発録音です。
録音の仕直しはしなかったということを記憶しています。

当時のポリーニは凄かったですよね。シェーンベルク、ノーノ、バルトークなどをを積極的に取り上げ、録音してましたから。彼の才能は古典派やロマン派よりも現代音楽に向いていると思っています。
by かなぱぱ (2009-08-20 00:08) 

みどりのこびとちゃん

かなぱぱさん、コメントありがとうございます。
そう、あのころのポリーニは、衝撃でした。
録音の仕方もあると思いますが、
ピアノの和音の鳴り方が、
当時の他のピアニストと全然違っていましたね。
懐かしいです。


by みどりのこびとちゃん (2009-08-22 00:55) 

みどりの巨人ハルクくん

ユーチューブに、ポリーニが演奏中に闖入してきた客と口論になって
演奏を中断してしまうという動画があります。
http://www.youtube.com/watch?v=VSSBZdwyNpw&feature=related
この状況が解る方、お教えください。コメントの英文は読めないし、
ページの翻訳は支離滅裂なので。
by みどりの巨人ハルクくん (2011-01-07 23:44) 

みどりのこびとちゃん

うーん、この動画の状況わかりませんね。
しかし、こういう場面に遭遇するのは貴重だし、
映像があるのも、驚きですね

by みどりのこびとちゃん (2011-01-08 00:47) 

みどりの巨人ハルクくん

客「いつまでひとりで弾いてるんだ、お前のリサイタルじゃないんだぞ!」
ポリーニ「うるさい! おれの今日の出番はこの20分足らずしかないんだぞ!」
    (演奏中の曲はベートーヴェン《合唱幻想曲》)

引き続き、わかる方お教え願います。
by みどりの巨人ハルクくん (2011-01-08 03:07) 

なるたる

ポリーニ、結構怒ってますねw。
割りと頭に血が昇りやすいタイプ?
超一流芸術家としては、自制心が足りません。
ラテン民族のなせる業でしょうか。
by なるたる (2011-01-08 20:02) 

みどりの巨人ハルクくん

なににせよ、私はこういう輩、許せません。
自分がこの演奏会にいたら、こいつに「金返せ」と言いたいです。
それにしても、誰も制止しませんね。日本だったら客がステージの方へ
歩いて行った時点で場内スタッフが阻止するでしょうが。
あちらでは、誰人も何に対してでもものを言う権利と自由が最優先されるという
ことでしょうか。暴力の行使に出ない限りは咎めもしない。
日本でこういうことがタブーとされるのは、何よりも「事なかれ主義」だから。
ポリーニのような存在に、面と向かって物言いをつけることは
日本ではありえませんが(陰でや遠くでならありますが)、
あちらではそれほどおかしいことでもないのかもしれません。
日本の在り方とあちらの在り方、どちらがいいとも言えません
(このコメント欄で話題になっている《春の祭典》の初演の状況は、
こんななまやさしいものではなかったようですが、私は観たくないです)。

客 「よぉ、こんな第九の出来損ないみたいな曲じゃなくて、《皇帝》やんなよ、
  ほれ、ジャーンて弾けよ、おら」
ポリーニ 「サバナビーッチ!!」

引き続き、状況のわかる方、解説願います。
by みどりの巨人ハルクくん (2011-01-09 01:17) 

みどりのこびとちゃん

そうですね、日本の聴衆は、静かだし、
演奏会の終わりの拍手も、どんな演奏でも、ある程度あるし、
ブーイングは、少ないと思います。
海外の演奏会には、行ったことがないのですが、
録音を聴く限りでは、自分が納得しないと、ブーイングもあるし、
拍手も少ないというのは、結構あるような気もします。
それは、それでいいとは思います。

ただ、私は、
演奏家と聴衆と作曲家は、同位置にあると思っているので、
聴衆も ちゃんと 演奏家を あたたかく育てなくてはいけないのでは
ないかと・・・

by みどりのこびとちゃん (2011-01-10 00:40) 

みどりの巨人ハルクくん

なににせよ、まず 人 として・・・

日本に蔓延する事なかれ主義も、本来は礼節を重んじる精神だったはずですが。
海外では、「おこがましさ」に対してずいぶんと寛容です。
大リーグの試合で、ファウルやホームラン性の飛球がスタンドの方に飛んで来ると、
懸命に捕球しようとする選手をよそに、観客がワッと群がって、
インプレーのボールを横取りしてしまいます。
それで大喜びしている客の姿にはいつも腹が立ちます。

それにしても、《合唱幻想曲》の最初の部分で演奏解釈に物申すということも
恐らくないだろうし、指揮者(チョン・ミュンフン?)のリアクションも不可解です。
一体なんなのでしょう? 引き続き、このシーンの事情がわかる方がいらしたら
ぜひ解説して頂きたい。

客 「おい、お前プログラムの写真より髪ねえじゃねえか。
   せこいウソつくなよw」
ポリーニ 「だまらっしゃい! お前だってハゲてるじゃないか!
      セネ・バータ(ずるむけ野郎)!」


by みどりの巨人ハルクくん (2011-01-10 02:47) 

みどりの巨人ハルクくん

以前に貼ったポリーニのハプニング動画の真相がこちらのサイトで判明したので、
ご報告します。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1163640861

ただ、この回答でもまだ腑に落ちない点があります。

スタッフらしき男の「大きな足音」が聞こえないこと。
その男の方からポリーニに声をかけてきて、それに対してポリーニが怒っていること。
その男がなんと言っているのかが依然わからない。

変なシーンです。
by みどりの巨人ハルクくん (2011-06-09 00:20) 

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