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4つの厳粛な歌(ブラームス) [ブラームス]

さて、街は、すっかりクリスマスだ。
(あれっ、昨日と同じ書き出しだ。気にしない・・・気にしない・・・)

私は、特に宗教心を持っていないが、
賛美歌を聴くと、歌詞も分からないのに、なぜか心は、敬虔で厳粛な気持ちになる。
まあ、そんな力を持っているのかも知れない。
(まあ、賛美歌を聴くのもクリスマスシーズンだけですがね)

今日の音楽日記は、賛美歌ではないが、
ドイツ語訳の聖書の言葉から詩をとった曲である。
ブラームス最後の声楽曲【4つの厳粛な歌】だ。

この【4つの厳粛な歌】が作曲された年は、あのシューマンの妻、
そして、ブラームスが想いを寄せたクララが世を去っている。
そして、ブラームスは、この曲集を、クララの残された家族に送っている。
ブラームスもこの時期、自分自身の死を予感していたとも言われている。

そんな中で書かれたこの声楽曲は、とても、古めかしい感覚の音楽だ。
その時の心情をロマン的に表すのではなく、
純粋に音楽の内面の音で、表現しようしているように思える。
歌というより、言葉という感じの声楽曲だ。
渋く、とっつきにくい曲であることも事実だろう。
そして、その心情には、聖書の言葉がすべて使われており、
下記の4曲よりなっている。

第1曲【世の人に臨むところのことは】・・しっかりした意志が感じられる曲。
                        中間部のピアノの三連符の入りが印象的。
                        (誰だ、黄金虫って言っているのは(笑))
第2曲【ここに我が身をめぐらせて】・・・渋く、重い音楽
第3曲【おお、死よ】・・・・・・・・・・中間部の美しい部分と主部の対比がすばらしい
第4曲【たとえわれ人の言葉、天使の言葉も】・・歌は、オクターブの跳躍が多いが、
                             荘厳で、敬虔で、すばらしい曲

中でも、第4曲は、
「愛がなければ何の益もない・・・信仰と希望と愛の中でも愛が最も偉大なるもの」と
最後に歌われるが、けっして、大げさなクライマックスを音楽で表すのではなく、
三連符の淡々とした和声進行の上に、しかし感動的に歌われる。

ピアノ伴奏は、あいかわらず、ブラームスだ。
左手のオクターブと跳躍がやっかいだと思う。
この左手の伴奏の難しさを意識せず、敬虔にしかし淡々と伴奏し、
高い精神性を保って、弾くことは、大変だと思う。

私は、この曲は、渋い内容で、言葉の意味も深いと思うが、
張りのある声より、なぜか、温かい声の演奏の方が、好きだな。なぜだろう・・・・

ところで、この曲、ピアノ伴奏より、管弦楽伴奏の方がいいのになあ、
と思っていたら、本来、ブラームスは、管弦楽伴奏で考えていたらしい。
管弦楽に編曲した版もあるが、ブラームス自身の管弦楽編曲で聴いてまたかったなあ。

この曲の楽譜は、音楽専門の古本屋で買ったが、
ブラームスの歌曲が、64曲入って、300円は、安かったなあ。(結構ボロボロだつたけど)

今日は、ちょっと厳粛に、まじめに書いてみました。(どこが???)


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コメント 10

Cecilia

持っています・・・と書きそうになりましたが、やはりありませんでした。
聴いたことは何度かあります。
(・・・どうもR・シュトラウスの「4つの最後の歌」とだぶります。雰囲気も似ていると思うのですが・・・。でも聴き比べたわけではありません。)
ブラームス歌曲が大好きなのでじっくり聴いてみます。
結婚記念日の私の記事にあわせて書いてくださった、と勝手に思っています。
ありがとうございます。

それにしても300円は安いですね!
by Cecilia (2006-12-24 22:47) 

みどりのこびとちゃん

Ceciliaさん、コメントありがとうございます。そのとおりです。
結婚記念日の過去記事を読み、勝手に書いてしまいました(笑)
(後ろ姿がなかなか素敵ですね)

今まで、器楽曲が主だったのに、
声楽曲は、この一年で、結構聴きました。
実は、この曲もつい最近まで知りませんでした。

声楽曲の譜面は、今年、ほとんど音楽専門の古本屋で買ったので、
安くは、つきましたが、中には、鉛筆などで、
レッスンの注意や、発音など、いろいろ記入してあるものもあり、
それはそれで、なかなか、面白いです。
(なんか、スーパーピアノレッスンの本みたいです(笑))
by みどりのこびとちゃん (2006-12-25 06:25) 

NO NAME

「黄金虫の歌」は私も思わず笑ってしまいます。
「4つの厳粛な歌」は文字通り渋く厳粛で最晩年のブラームスの寂寞とした心境を見事に物語っていますね。
終わりに行くほど明るく壮大にそして真摯な祈りになり救いがあることは何よりです。

ブラームスの歌曲は地味な印象が強いですが、彼の人柄のように優しく暖かさに満ち溢れ、ロマンチックであったり、敬虔であったり、厳粛であったりとても癒される曲が多く好んで聴いています。

私はブラームスおたくと言っても良いぐらいのブラームス好きですが、彼の管弦楽付き合唱曲ももっと沢山の人に聴かれても良いと思います。

超有名な「ドイツ・レクイエム」の素晴らしさは言わずもがなですが、「アルト・ラプソディ」・「カンタータ リナルド」・「勝利の歌」・「運命の歌」・「運命の女神の歌」・「哀悼歌」など珠玉の名品が目白押しです。
特に「哀悼歌」のハーモニーの素晴らしさ、浄化された世界は目を見張る
ほどです。
こんなに癒される合唱曲は私的には稀有のことです。
by NO NAME (2007-03-24 19:18) 

みどりのこびとちゃん

ドイツ・レクイエムは、
昔々、フルトベングラー好きの友人にレコードを散々聴かされました(笑)
どうも、よくも悪くも、あの個性的な演奏から、はなれなられないのです。

「哀悼歌」ですか、どんな曲なんだろう・・・
興味がわいてきます。
by みどりのこびとちゃん (2007-03-25 21:05) 

なるたる

最近ブラームスの歌曲が恋しくなり、久々にこの曲を聴き返して
みました。
やっぱり良いわ、この曲。

特に好きなのが第3曲。
後半蟲惑的で陶酔的な長調に変じる部分は、思わず「死の甘美さ」に
引き込まれそうになります。
危ない、危ない…禁断の調べですw。

マイブームですが、ナタリー・シュトゥッツマンのコントラルトが絶品です(またもや別のナタリーです)w。
前に聴いたフィッシャー・ディースカウよりも、今の私にはうんと心に
響きます。

落ち着きのある、つややかでビロードのような声質、曲の解釈の確かさ、
フランス人でありながらドイツ語の発音の完璧さなど、カスリーン・フェリアー
以降半世紀ばかり空白となっていたアルト界に現れた、実に得がたいコントラルトの歌手です。

という事で、是非ともナタリー・シュトゥッツマンのブラームスとシューマン
をお聴きになってみてください。
by なるたる (2010-08-19 16:57) 

みどりのこびとちゃん

なるたるさん、コメントありがとうございます。
マイブームがあるというのは、いいですねえ。
私は、現在、マイブームの曲、作曲家がなくて、
いったい、何を聴いているのだろう?状態で、音楽を聴いています。
いかんです・・・

では、久々に、ブラームスの歌曲聴いてみますか
by みどりのこびとちゃん (2010-08-20 00:18) 

なるたる

そうですか、それは素晴らしい。
では超お勧めを一曲、有名な曲ですが…。

op43-1 「永遠の愛」。
演奏効果の極めて高い、劇的迫力に満ちた名曲(バラード)です。
ピアノ伴奏も交響的で、スケールの大きい実に素晴らしい曲です。
但し歌詞は大変恥ずかしいですw。
でも私は、歌い手の歌唱力を確認する時の、一つの指標としています。

面白い話題を一つ。
この曲には「相撲の呼び出し」の節回しに酷似した旋律がありますw。
さてどの部分でしょうか?
よろしければ、是非確認してみてください。
by なるたる (2010-08-20 08:52) 

みどりのこびとちゃん

なるたるさん、曲紹介ありがとうございます。
聴いたら、感想いれますね
今日は、METで買った、オペラのダイジェストのCD聴いていました。
車の中で聴くとなかなかでしたよ
by みどりのこびとちゃん (2010-08-21 23:49) 

NO NAME

秋の夜長の暇つぶしに、以前紹介したナタリー・シュトゥッツマンの
この曲の第3曲をどうぞ。
後半の癒しは実に感涙ものです。

http://www.youtube.com/watch?v=foxB-wRl1HE&feature=relmfu
by NO NAME (2012-10-05 22:42) 

みどりのこびとちゃん

久々に聴きましたよ。いいです。
感動的です。いいですなあ。

by みどりのこびとちゃん (2012-10-06 00:25) 

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