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バラード 第2番(リスト) [リスト]

最近、ショパンのピアノ曲を書くことは、多いのだが、
同時代のリストのピアノ曲を書いていない。
(私、リストのピアノ曲は、好きなのですよ。確かに駄作も多いけど、人間味があって・・・)

ということで、今日は、リストのピアノ曲である。

ショパンのピアノ作品は、名作ぞろいだが、中でもショパンの4曲のバラードは、
どれもこれも傑作として、ピアノ作品の中でも輝いている。
(4曲とも、この音楽日記で登場済みである。)

リストも、負けずに、ピアノ作品として、2曲のバラードを作曲している。
しかし、残念なことに、ショパンのそれと比べて、2曲共、演奏されることは、少ない。

私の持っている本には、リストのバラードについて、下記のように書いてある。
「ショパンの作品を比べれば、遙かに下に位置し、その差は、隔絶している・・・曲は、
 なんら意味を有しない、平凡な作品である。・・・」

また別の本には、
「ショパンのバラードと比較して、音楽として、価値は低められている・・・」

また、別の本には、
「リストのバラードは、一番も二番もなにを表そうとしているか、わからない・・・」

あーあ。なにもここまで、この作品を悪く言わなくともいいのになあ(笑)
まあ、しかし、確かに、多くの人の意見は、上記のような感想だろう。
音楽の評論は、自由だし、このような意見は、ある意味、もっともだ。
 
しかし、しかし、リストのピアノ作品に とてもとても人間味を感じる私としては、
駄作と言われても、この作品を擁護したい。

まずは、リストのバラード第2番という曲を聴いたことのない人に、
曲の簡単な解説である。

曲の開始は、左手の半音階のスケールの上に、暗い旋律が単音で演奏され、
その後、明るい単純な旋律になる。
これが、二回繰り返され、その後、半音階を使用した技巧的な展開が繰り返され、
そして、後半は、最初の主題が、明るくなり、すばらしいピアノ書法で高揚する。
コーダは、二種類あり、静かに終わるバージョンと、派手に終わるバージョンがある。

さて、この曲のいいところを書いてみよう。
・半音階が耳につくかもしれないが、主題の展開は、とても変化に富んでいる。
・演奏効果は、技巧的で、とてもある曲だと思う。
・作曲年代は、あの傑作ピアノソナタと同じであり、時々、同じような響きの場所もある。
・なんといっても、後半の展開は、すばらしい。

そう、始めから、3/4くらいは、人によっては、確かに退屈かもしれない。
しかし、後半の1/4の展開は、最初の主題を長調にし、すばらしい歌を聴かせる。
この部分は、感動的であり、ピアノの響きもすばらしく、
気持ちがすかっとすること間違いない。
(プロのピアニストが、スケールや和音連打等をすばらしく響かせるともう快感である。)
ただ、あまりに、この表現が技巧的で、表面だけで、
深い感情がないと思う人がいるのだろう。

しかし、こんな人間的な素直な感情表現もいいと思う。
バラードとは、もともと物語だ。きっとリストは、思いを素直にぶつけたのだと思う。

うーん、でもね、リストのバラードとショパンのバラードを比べて、
お前は、どちらが、上か選べって、上司に言われたら、

「方向性が違う、バラードのピアノ曲に順位は、つけられない」
って、かっこよく、言いたいなあ。
(でも、確かにショパンの方が上だろう・・・という自分の内なる声もあるのは事実だ)

まあ、そんなこと考えず、
リストのバラードを聴いたことのない人は、是非聴いてくださいね。
一番もとても聴きやすい曲ですが、二番の方が、変化に富んでいて、面白いと思います。

しかし、この曲を改めて聴いて、どんな物語が浮かぶかなあ、と思っていたら、
夫婦げんかをして、いろいろ言い合った夫婦が、最後は仲直りして愛の歌を歌う。
みたいな、平凡な物語が浮かんだ。

うーん、私の想像力は、貧弱だあ・・・
(それに、これじゃあ、この曲の擁護に全然なっていないし、リストさんごめんなさい。)


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コメント 6

かおる

あはは!ステキな物語つきですねえ。

先日久しぶりに聴きました。なぜかリストの曲が弾きたくなって、弾けもしないのに楽譜を開き音符と格闘していたんですが・・・この左手を見た瞬間「めんどくさ」と思ってしまいました(笑)半音であがっていってるだけなんですけどね。うねりを出すのが難しそうです。でもここが終わったらきれいなメロディ♪そしてまた左手半音階・・・。
確かに私もショパンのそれと比較をしました。ショパンを意識して「バラード」を作ったのかなあ?とかね。実際1番はショパンの1番の出だしと同じでアルペジオから始まるんですよね?

そうか。後半がいいのですね。たぶん・・・ぼーーーとして聴いていたからあんまり覚えていません(爆)また聴いてみまーーーす!
by かおる (2006-12-22 10:14) 

みどりのこびとちゃん

かおるさん。リストのバラード2番をちょこっと弾けるというのは、
格闘するだけでもすごいです。
左手のうねりをだすのは難しいと思いますが、
波を渡る聖フランシス と同じと言えば同じですよね(笑)

そう、私は、派手になる後半が好きなのです。
by みどりのこびとちゃん (2006-12-22 21:17) 

うさぎ

こんにちは
私はショパンが大好きで,ここ2年ショパンばかり弾いていました。バラードの4番やエチュードをがんばっていましたが,細やかな音づかいと,響きを探っているうちに,なんだか疲れてイジイジしてきました。いくら好きでもちょっと息苦しくなっては楽しくありません。そこで,リストに浮気しちゃえ・・・というわけで,伝説の2番やバラードの2番をひいてみましたら,単純明快なつくり,おおらかなパターンの組合せ,派手な技のわりに譜読みが簡単で,なんだか難しく考えること抜きに楽しい!リストもいいな!ショパンもリストもピアノの表現力を熟知し,引き出そうとした点では同じなのだと再認識しました。なんだかタイプの違う2人の恋人と付き合っている感じです!
by うさぎ (2007-11-14 20:57) 

みどりのこびとちゃん

うさぎさん、過去記事へのコメントありがとうございます。
いいですねえ、ショパンとリストと、付き合えて(笑)
しかし、バラードの方向性は、この二人、全然違いますよね
by みどりのこびとちゃん (2007-11-14 23:28) 

nzzkn

この曲を、私が応援に努めているキュートな(知花くららさん似の)アーティストさんが先日弾かれました。

使用ピアノはブリュートナーでした。半音階の滲んだ感じと、メロディがじんわり繋がっていくところがよく表出できるピアノだと感じました。しかし、それが余りにも心地よい波となって押し寄せ、意識が途切れてしまいました。

もっと事前に曲を聴き込んで、睡眠ももっと十分にとって行けば良かったです。
by nzzkn (2009-10-24 11:35) 

みどりのこびとちゃん

nzzkn さん、コメントありがとうございます。
私、リストのバラード第2番、一般の評価より、いいと思うのですが・・・
今度、是非、睡眠をとって聴いてくださいね(笑)
by みどりのこびとちゃん (2009-10-24 23:42) 

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