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交響曲 第5番 ニ短調(ショスタコーヴィチ) [ショスタコーヴィチ]

さて、昨日は、モーツァルトのことを書いた。
とすれば、今日は、今年のもう一人の顔である、
ソ連の代表的な作曲家ショスタコーヴィチを書くしかない。
(今年は、モーツァルト生誕250年と同時に、ショスタコーヴィチ生誕100年ですね)

さて、ショスタコーヴィチの何の曲を書こうかと思った。
ピアノ曲の24の前奏曲とフーガもいい曲だし、弦楽四重奏もすばらしい。
ジャズ組曲や、ピアノ協奏曲も楽しい。
しかし、まずは、この作曲家の代表作であり、最大の問題作である
【交響曲第5番 ニ短調】を今日は、書くことにしよう。
(あーあ、しかし、この曲のこと書くのは、難しいなあ・・・)

有名な曲なので、説明不要かも知れないが、
ちょっとだけ、この曲の解説をすると、

 ・4楽章からなる交響曲で、全体的に非常にわかりやすい。
 ・「苦悩から歓喜」「闇から光」というわかりやすい構成。(ベートーベンの運命と同じ構成)
 ・第一楽章の苦悩、第二楽章のすばらしいスケルツォ、第三楽章の美しさ、
  そして、特に四楽章は、すばらしい行進曲風の楽章であり、吹奏楽でも人気がある。
 ・しかし、問題は、作曲者の知人が書いた「証言」という本である。

昔々、私は、クラッシック音楽を聴き始めて、結構すぐ、この曲と出会った。
当時は、【革命】との俗称で呼ばれ、
すごくかっこいい交響曲と単純に思った。
「生きる喜び」と言われた、第四楽章のトランペットとティンバニーには、惚れた。
すばらしい曲だ。派手な演奏にあこがれた。
レコードは、何回も聴いた。

その後、例の作曲者の知人が書いた「ショスタコーヴィチの証言」という本がでる。

その本は、いろいろなことが書いてあるが、
この曲に関しては、作曲者の意図しているのは、
第四楽章は、「生きる喜びの勝利の行進曲」ではなく「喜びを強制された悲劇の行進曲」だ。
と書いてあるそうだ。
そう、この本によると、この曲は、当時のソ連の政治体制を批判した曲だという解釈だ。

これには、当時、ショックだった。
今まで、感じてきた曲のイメージが一気に180度変わってしまったのだから。
(そう、スターウォーズの1・2・3を見たら、ダースベイダーのイメージが変わったの
 と同じですね(オイオイ))

そう、それから、しばらくは、この曲を聴いても純粋に感動しなくなった。
何度聞いても、ひっかかるものがあった。
こんないい曲が、なんで、強制された喜びなのだろう・・・・
そう、そうして、この曲とは、遠ざかっていった。

音楽は、難しい。
曲がもっている本来の音楽だけを楽しめればいいのだが、
どうしても、人が作曲したものだ。
音以外にも、その時代背景や、思想などの意味が入ってくる。
ショスタコーヴィチだけでない。モーツァルトやベートーベンやワーグナーだって、
どの作曲者にもそれがある。
純粋に音楽だけを楽しめれば幸せだと思うのだが、
そうはいかない。
すべてひっくるめての音楽芸術かもしれない。

でもですね、幸せなことに、現在は、私は、この曲を楽しく聴くことができるようになった。
それは、以下の理由による。

・どう聴いても、私には、終楽章に向けて、「苦悩から歓喜」に聞こえる
・わかりやすい旋律・構成。やはり、誰がなんと言おうと、最後は、かっこいい
・なんにせよ、作曲者の強い意志をかんじさせる曲であるのは間違いない。
・それならそれで、いいじゃないか。という悟りですね(笑)

もし、自分が管弦楽の指揮者だったら(オイオイ)、まちがいなく、
なんといわれようとも、「苦悩から歓喜」の解釈でやるだろう。
(ははは、素人のこわいもの知らずの解釈ですね(笑))

それに、よく調べて見ると、「ショスタコーヴィチの証言」という本は、
ほとんどが虚偽の記述だという意見が大半を占めているらしい。
(本当の結論はでていないらしいが・・・)

しかし、こうなってくると、音楽を聴くのも大変だ。
こんな音楽の聴き方は、正直、この曲だけにしたいものだ。


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polo

ショスタコヴィッチの5番はポロも大好きな曲のひとつですが
こんな逸話(背景)があったとは知りませんでした。勉強になりました!
by polo (2006-07-16 01:53) 

みどりのこびとちゃん

poloさん。コメントありがとうございます。
コルネットを弾かれるのですね。楽器を弾ける人は、うらやましいです。
ショスタコービッチの第5番は好きな人が多いですよね。
これからもよろしくおねがいします。
by みどりのこびとちゃん (2006-07-16 22:35) 

Robert

ショスタコービッチの第5番についてありがとうございました。この曲を初めて聴いたのは35年程前の高校生の頃でした。当時をなつかしく思い出しました。音楽の好きな同級生に「なにかいい曲ない?」と聞いて「あるよ、いまから家に来るかい?LPあるよ。」と聴いたのがこれでした。ずいぶんと派手な曲だなと思いましたが、ショスタコービッチのことはまるで知りませんでした。一昨年だったか西本智美さんの指揮でこの曲を初めてライブで聴きました。
by Robert (2006-07-17 11:14) 

みどりのこびとちゃん

私もこの曲を初めて聴いたのは、30年以上前です。
(おっと、歳がわかっちゃいますね(笑))
そう、私のこの曲の第一印象も派手でした。
by みどりのこびとちゃん (2006-07-17 22:03) 

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