組曲「惑星」より【木星】(ホルスト) [ホルスト]
さて、イギリスの作曲家といえば、渋い曲を作曲する人が多いし、
イギリスの曲と言えば、派手な曲より、渋い曲の方が圧倒的に多いと思う。
しかし、その中でもこのホルスト作曲の組曲【惑星】は、
派手な管弦楽曲として、有名である。
その中でも最も、有名な曲が【木星】だろう。(火星も有名だが・・・)
さて、今日の音楽日記は、木星である。
サブタイトルに「快楽をもたらすもの」と書いてあるように、
全体的に、明るく、喜びの曲想に満ちている。
この曲では、6本のホルンが大活躍する。
冒頭のかっこいい主題は、もちろんのこと、
ほとんどの主題にホルンは、からんでいるし、
私がホルン吹きだったら、楽天的に吹いて、
すごく気持ちがいいだろうなあ。と勝手に思っている。
(もちろん言うまでもなく、ホルンは、まったく吹けません。(笑))
しかし、この曲を聴く度に、ホルン吹きはいいなあと感じるのは本当である。
あと、かっこいいのは、ティンパニーである。
この曲は、ティンバーニー6個を2人で演奏するのだが、
16分音符の速いパッセージの旋律を2人のティンパニー奏者が弾くのを見るだけでも
価値がある。(オイオイ、音楽は、聴くものだぞ・・・)
さて、この曲の聞き所は、なんと言っても、中間部3/4の部分だろう。
クラッシックを聴かない人も、平原綾香の「ジュピター」で知っているだろう。
あの朗々と歌う旋律である。
この部分は、皆さんは、どんなイメージだろうか?
優雅な民謡風の主題が、なめらかに歌われ、盛り上がり、歓喜の歌を歌う。
そう、この旋律は、後に作曲者自身の手により、歌曲になった。(これは本当)
うーん。やっぱりこのイメージだと思う。
私は、この曲が好きで、昔々スコアを買った。
(当時は、日本からは、出版されてなく、高いスコアしかなかったのだが、・・・)
スコアには、この3/4の中間部の音楽記号は、こう書いてある。
・アンダンテ、マエストーソ・・・・・堂々と威厳を持って歩くような速度で
そして、旋律の弦楽器には、
・ノン、レガート・・・・・・・・・・なめらかではなく
オイオイ、ということは、ここは、歌うようになめらかではなく、
行進曲みたいに堂々と、弾くのが、作曲者の望んだことなのか?
この疑問は、スコアを買った時から私の中あったのだが、
その後、作曲者ホルストの自作自演の【惑星】全曲というCDを買って、聴いて、
疑問がとけた。(1926年録音です。音は悪いです。)
そう、この曲の作曲者の自作自演の中間部は、
本当に行進曲なのである。
速度は、速く歩く速度だし、旋律は、なめらかではなく、ごつごつしているし、
本当に、威風堂々とした行進曲である。
ああ、こういう解釈を作曲者は、ねらっていたんだ。
と疑問が解けた。
しかし、この作曲者の自作自演の解釈が名演かというと、私には、すごく疑問が残る。
誰かがどこかで、書いていたが、
「自分の子供がかわいいように、作曲者は、自分の曲がかわいい。
それゆえ、自作自演の解釈には、価値はあるが、名演が少ない。」
うーん、そんな感じだなあ。
私は、やはり、中間部は、朗々と歌う方がいいなあ。
まあ、作曲家も演奏家も芸術家であるので、どちらの解釈もOKだろう。
まあ、興味のある人は、ホルストの自作自演を聴いてみてください。
この木星は、最初から、快速調で、おもしろいですよ。
しかし、最近、ピアノ曲の小品を書いていない、次回は、ピアノ曲にもどるか・・・・
イングランドは、まだ残ってますよね(笑)
昨年灘校の生徒さんが、この曲を生ギターにアンプをつないで素敵なアレンジで弾いているのを聴きました。
いろいろにアレンジできる不思議な曲ですね。
アンプにつないだギターの響きがほんとに宇宙を思わせる音色でした。
by ピアノフォルテ (2006-07-03 23:22)
ピアノフォルテさん。コメントありがとうございます。
名曲は、どんな楽器でも、どんな演奏でも、どんな解釈でも、
なにか、感じることができる曲という条件があるのかもしれません。
宇宙を思わせる演奏ですか・・・・
すばらしい。
by みどりのこびとちゃん (2006-07-04 00:11)
自作自演に興味が湧きました!
私も中間部は朗々と歌うイメージですが、あの"I vow to thee my country"の歌詞を考えれば、堂々とした行進曲風というのもうなずけます。
栄光に満ちた英国のイメージですね。
でも快楽をもたらす神のジュピターとキリスト教の神は結びつかないけれど・・・。
by Cecilia (2008-05-13 09:16)
ホルストの「木星」の自作自演、是非聴いてみてくださいね。
決して、名演ではないと思うけど、価値ある演奏だと思います。
他の惑星の演奏も、結構独特です。
by みどりのこびとちゃん (2008-05-14 00:18)
初めましてU・Mと申します
明日「惑星」のCDを買いに行くのですが、ホルスト卿が自作自演
したバージョンとボールト卿の指揮による物、どちらが良いか迷って
います。(もし上手い具合に両方のCDがお店にあったら両バージョン
買ってみたいですね)
by U・M (2012-09-30 04:20)
U・Mさん、惑星、もちろん、一般的なゴージャスで音のいい
音源をすでに聴いているのなら、ホルストの自作自演ですね。
って、思うのですが、
確か、1枚のCDで、ホルスト自作自演とボールト指揮が入っていた
CDがあったような気がするのですが・・・・
とりあえず、自作自演、面白い演奏です。
by みどりのこびとちゃん (2012-09-30 06:32)
先日、らららクラシックでやってました。平原さんの「Jupiter」は流行る前から惑星は聴いていたし、改めて聴くと数あるクラシックの中でも心に残る一曲だと思いますし、この惑星組曲全体、それぞれが個性的で聴く人それぞれキャラがあるように、性格が適すると思います。
2台ピアノ版、吹奏楽編成、オルガン、シンセサイザー版など、色々なバージョンの惑星をこれまで聴いてきました。そろそろ飽きて違う種のものも聞きたくなりました。また通常のオーケストラ演奏も、「これは凄い」というものがあれば教えて下さい。
by タカノカズヒロ (2014-09-05 22:32)
タカノカズヒロさん、コメントありがとうございます。
いろいろな編曲を聴いていらっしゃるようで、
おそらく、普通の編曲物では満足しないことでしょう(笑)
ということで、いままで、公開していない音源を
ご紹介しましよう。
マンドリンオーケストラによる木星です。
編曲は私。指揮は私。です
(ははは、ということであまり期待しないでください)
みどりのこびとちゃんの別館
(左上から入れます)
にアップしましたので、
興味がありましたら、是非。
by みどりのこびとちゃん (2014-09-06 23:35)