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プロメテウス(スクリャービン) [スクリャービン]

さて、今日は、アシュケナージ指揮・NHK交響楽団の定期公演を聴いてきた。
そのメイン曲が、このスクリャービン作曲のプロメテウスだった。
そして、その演奏は、世界初の試みを企てたものだった。

その前にこの作品について、ちっょとまじめに解説してみよう。
 (たまには真面目に書きました。ちゃんと読んでくださいね(笑))

・この曲は、ロシアの作曲家スクリャービンが、作曲した最後の管弦楽曲である。
・作曲者の後期の特色である全曲が神秘和音といわれる独特の和声でできている。
・この曲は、管弦楽と独奏ピアノと合唱とオルガンと色光ピアノからなる曲である。
・色光ピアノは、厳密には存在せず、初演時も省略された。
・色光ピアノというのは、鍵盤を押さえると、色だけがでるピアノである。
 (重要なのは、色光ピアノから出る色は、通常の舞台上の照明の意味ではなく、
  純粋にオーケストラの中の演奏楽器の音としての色なのである。すなわち、
  この曲の場合、色と音は、同一の意味である。その為、この色光ピアノは、
  鍵盤を押しても、色しかでないが、ちゃんと、スコアの五線紙にパートとして書いてある。
  ちなみに、C(ド)を押さえると、赤の色がでる。)(ちょっと難解・・・・)
・管弦楽とピアノと合唱とオルガンの音に光を加えた一大スペクタクル大曲である。

まあ、曲の紹介を長々と書いてしまいましたが早い話が、
現代曲風のピアノ協奏曲風管弦楽に、色彩がついた曲。
とでも思っていただけるとわかりやすい。(うーん、だいぶ違うけど、まあいいか)

いままで、この曲は、演奏にあたって、色光ピアノのパートは、
省略されるか、又は、通常の舞台照明で代用するか、簡単な発光鍵盤装置にするか
だったそうである。

今回のアシュケナージ指揮・NHK交響楽団の定期公演は、YAMAHAの協力を得て
スクリャービンの考えたであろう、色光ピアノを実際に制作(!)しての演奏だったのだ。
舞台後ろのスクリーンに色光ピアノが演奏(!)する色が現れ、それだけでなく、
客席にも、色が降り注ぐ。
そして、最後は、白い衣装の合唱団も現れ、
まばゆいばかりの光が音と共にホールを包みこむ。
というものであった。

さて、今日の演奏の感想だが、
「曲の演奏を聴くというより、芸術の体験をする」
という感じだった。

いやいや、正直に書こう。
どういえばいいのだろうか、
一つのすばらしい芸術であることはまちがいない。
しかし、色彩は、音なのだろうか?
私のような凡人には、色を音として、とらえることが出来ない。
どうしても、今回は、後方のスクリーンの色を見てしまう。
(ディズニー映画のファンタジアの聴き方ですね。)
管楽器、弦楽器、ピアノ、合唱は、混ざって音に聞こえるが
色は、照明でしか見えない。色の音が聞こえない。

これは、難しいと思う。
この曲は、芸術作品としては、超一流だろう。
スクリャービンの考え方もすばらしい。

しかししかし、その考え方が、聴衆にわかるか、というと難しい問題だと思う。
(すいません。私にわからないだけかもしれません。)

単に、舞台照明で、この現代風で神秘的な曲のプロメテウスのイメージを
わかりやすく説明しようというのであれば、
それはそれで、照明により、かなりわかりやすくなる。

しかし、色光ピアノの演奏した色を音としてとらえろ、ということであれば、
なかなか難しいのではないだろうか?

しかし、そうは言っても
CDでこの曲を聴くより、
断然、今日のステージでの演奏の方がすばらしいと感じたのは事実である。
このようなチャレンジある演奏会は、是非今後とも続けていってもらいたいものである。

そのうちに、私もひょっとしたら、色に音が聞こえる日が来るかもしれない・・・(多分ないな)
(R・コルサコフは、色に音を感じ、ラフマニノフは、色に音を感じなかったそうだ。)


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