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オラトリオ【聖エリーザベトの伝説】(リスト) [リスト]

「リストという作曲家は、技巧的なピアノ曲だけの作曲家ではない。
 最近、ピアノ曲以外の作品にも、注目が集まってきている・・・」

という、言葉(文章)は、いったい、いつから、ずっと言われ続けているのだろう?
少なくとも、すでに、20年前にも、同じことを言われていたし、
また、つい最近も、同じようなことを書いた文章を見たことがある。

(ところで、これって、「今年は、異常気象だ・・・」と言うのに似ているかも知れない
 そう、過去の雑誌を見ると、わかるけど、20年前も、10年前も、
 毎年毎年、「今年は、異常気象」と言っているのです(笑))

そう、リストは、昔から、いつもいつも、そんな風に言われているけど、
結局は、「ピアノの魔術師」という、イメージがありすぎて、
CDやネットで、音源は、増えたけど、
どうしても、ピアノ曲以外の作品の演奏は少ないし、聴く人も少ないと思う。
でもですね、本当に、一回ぐらい、ピアノ曲以外を聴いてみましょうね。

リストのピアノ曲以外の作品は、多種多様にわたっている。
2曲の交響曲、13曲の交響詩、室内楽曲、声楽曲、合唱曲、等々・・・
なかでも、宗教的合唱曲は、音楽的にも聴き応えある、すばらしい作品だと思う。

リストの「ピアノの魔術師」という先入観のイメージをまず、捨ててみよう。

今日の音楽日記は、リストの宗教的合唱曲の中では、大曲で、
リストが作曲した当時は、かなり人気のあった作品だ。
オラトリオ【聖エリーザベトの伝説】です。

オラトリオとは、宗教的内容の大規模な声楽曲で、
リストは、「キリスト」と「聖エリーザベトの伝説」の
オラトリオを2曲完成しているが、どちらも、大曲だ。

さて、【聖エリーザベトの伝説】である。
聴いたことがない人も多いと思うので、ちょっとだけ、真面目に解説だ。

   ・リストは、人生の後半をローマで過ごし、聖職者なり、
    宗教的な曲を数多く作曲した。
   ・そんな中、音楽的には、チェチーリア運動にも共感し、
    かなり、古い様式での楽曲も作曲している。
   ・【聖エリーザベト】がどんな話かは、ネットで調べてくださいね(笑)
    この話を知って、聴くと、とても分かりやすい曲に聞こえます。
    (パンが、薔薇に変わるとか・・・)
   ・この曲は、管弦楽、混声合唱、4人の独唱、児童合唱、オルガンの大編成で、
    1時間以上かかる。

とにかく、リストのイメージを頭から、離して、素直に、聴いてもらいたい。
そこには、神を讃える、神父リストがいる。
そして、神父リストが、素直に音楽を作った音がある。
安らかな音楽、敬虔な音楽、劇的な音楽、などが、渾然一体となって、
すばらしい、オラトリオとなっている。

1時間を超える大曲で、すべてを書けないが、
私の好きな部分だけちょっと書いてみよう。

前奏曲
   最初のフルートの旋律は、なんて、やさしい旋律だろう。
   そして、木管の合奏、弦合奏へと続く。そして、劇的さと静かさの対比。
狩の歌
   狩のホルン。そして、力強い男性の歌声。
   ここには、古典的なロマン派の音楽がある。
薔薇の奇跡
   美しい音楽。一瞬、マーラーの音楽かとも思われる、甘美で、陶酔的な音楽
十字軍の行進
   描写的な音楽。単純な旋律だが、行進曲としては、とても聴きやすい。
   ティンパニーが効果的。
間奏曲
   鐘が効果的に使用される、
ハンガリーとドイツのビショップ
   このオラトリオの終曲にあたる。
   クライマックスとして、とても力強い合唱と、オルガンの響きの中で、
   この長い物語は、閉じる。

リストのピアノ曲が、
オペラのパラフレーズのような、外面的技巧曲から、無調音楽まで、
様々な音があるように、
リストの宗教音楽も、実は、いろいろな面をもった音楽がある。
この曲以外の宗教曲では、もっと、簡素な曲もあるし、
とても、前衛的な音楽もある。

どれが、リストの音楽の本質だろう、とかは、考えてはいけないと思う。
リストの音楽は、リストの波乱万丈の人生・思想、をひっくるめて、
私は、実は、とても、人間的な音楽だと思う。

さてさて、この音楽日記、連続で、リストの音楽を紹介してきたが、
ひとまず、次回からは、いつもの、音楽日記にもどろう。
次は、なんの曲を書こうかなあ・・・

まあ、でもまた、リストについては、いつか書こうと思う。

追記

 しかし、【聖エリーザベトの伝説】を書くのに、何回か、この数日、全曲を聴いた。
 いやいや、大曲は、聴きごたえあるけど、疲れも・・・ははは


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Cecilia

いかにもカトリック・・・という雰囲気ですね~!
それとここにも”狩りの歌”が!
そのうち特集しようかなあ??

チェチーリア運動・・・というのは何かを検索したときに出てきて自分のブログのどこかに書いた記憶があります。
by Cecilia (2008-06-27 08:57) 

みどりのこびとちゃん

是非、狩りの歌 特集書いてください(笑)
狩りの歌というと、一番有名なのは、ウェーバーかな
ブラームスもあるような・・・

チェチーリア運動、実は、詳しくは、よくわかりません(笑)
勉強せねば・・・
by みどりのこびとちゃん (2008-06-28 00:22) 

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