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大フーガ(ベートーベン) [ベートーベン]

さて、昔、この音楽日記に書いたことがあるが、
私は、クラッシック音楽の中では、
【何とかとフーガ】とか、【最後にフーガをもってくるソナタ】など
大好き人間である。
どうしてかは、わからないが、
フーガの持つ数学的幾何学的なものと、
それと相反する精神性なものが同一に存在することに、ひかれているのかもしれない。

さて、今日の音楽日記は、弦楽四重奏の為に書かれた、
ベートーベン作曲の【大フーガ】という曲である。
元々は、弦楽四重奏曲第13番の終楽章として作曲されたが、
終楽章としては、あまりに長く、そして、当時としては、難解な音楽の為、
この曲は、独立した曲として演奏されることが多い。
(弦楽四重奏曲第13番の終楽章は、別にまた作曲されている。)

曲は、7つの部分からなっており、演奏時間が20分程度かかる
緊張感あふれる序の部分(ここで、主要主題が提示されますね)
そして、付点のリズムが特徴的なフーガ。
ゆるやかな美しい対位法をみせる歌の部分。
トリルが多く使用され、リズミックだが、難解な対位法。
美しい歌と、リズミックな部分の再現のあと、
ユニゾンのフォルテシモで、緊張感あふれる主題提示のあと、
突然終わりがやってくる。

この曲、弦楽四重奏の曲なのだが、
実は、私が初めて聴いたのは、
フルトヴェングラー指揮、ベルリンフィルハーモニー管弦楽団の
弦楽合奏版のレコードだった。

【大フーガ】という題名にものすごくひかれたのだが、
一回聴いただけでは、理解でない、ぎくしゃくした音楽がそこにあった。
しかし、この演奏は、
ものすごく、音楽が濃く、そして、ロマン的で、濃密な音楽だった。
そのアンバランスな演奏が頭に今も残っている。

今では、もちろん、弦楽四重奏での演奏も聴き、
いろいろな解釈も聴いたが、
最初に聴いた演奏というのは、こわい。
体にしみついている。

さて、この曲は、どういった時に聴くのがいいのだろうか?
やはり、夜、寝られない時の音楽と思う。

精神的な曲想や、美しい曲想や、幾何学的なフーガや、冷めた構成や、熱っぽい曲想など
様々な音楽が、アンバランスに組み合わさったこの曲は、
寝られない夜の夢と幻想にぴったりだ。

と、ちょっとだけ、まともなことを書いていたが、
実は、この曲をデジタルオーディオに入れて、最近、ずっと聴いていた。
最初のフーガの部分を
ランララン・ランララン・ランララン・・・・と楽しく歌いながら、、
リズミカルな部分を
ラ・ラン・ラ・ラン・ラ・ラン・ラ・ラン・・・・と鼻歌を歌って、
会社に行く道のりを歌っていたら、
結構、楽しい曲になってきたのです。(本当)

うーん、ベートーベンさん、この曲は、どんな感覚で作曲したの?


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なるたる

リクエストから実際ブログで取り上げてくれるまでの時間が短くて、感謝感激であります。

これ聴きなれると麻薬と同じ効果があるようです。
最近じゃ一日一回聴かないと寝付きが悪いw。

私がこの曲に強く惹かれるのは、多分その「マッドさ」にあります。
古典派音楽の中では、その破天荒ぶりは際立っています。
ゲテモノの一歩手前でからくも踏みまっている「正気と狂気の危ういバランス」がこの曲の持ち味なのかな、と思ったりします。

因みに私はゲテモノをこよなく愛しますw。
by なるたる (2007-07-15 18:58) 

NO NAME

訂正

ゲテモノの一歩手前でからくも踏みまっている→踏み止まっている
by NO NAME (2007-07-15 21:05) 

みどりのこびとちゃん

なるたるさん。実は、この曲、私は、しばらく聴いていなかったのです。
しかし、ちょっと聴き始めると、確かに、はまり込んでしまう曲です。

つい先日、私の日課!である、食器洗いをしていて、
ふと、この曲を口ずさんでいました。
かみさんが、「その楽しそうな曲(?)なあに?」
と聴いてきたので、「ベートーベンだよ」と答えました。
しばらく、私の頭の中は、この曲です。
by みどりのこびとちゃん (2007-07-15 23:02) 

なるたる

私は室内楽が好きで、色んな作曲家の作品をとっかえひっかえ聴いています。
年取ると室内楽のインティメイト(親密)な響きが何より落ち着き、他のどんなジャンルの作品より心に沁みます。

最近何故かベートーヴェンの弦楽四重奏曲ばかりを良く聴きます。
大フーガは単なるネタでしたが、やっぱり良いわ、ベートーヴェン。
特に中期から後期にかけての作品はその深い精神性にため息をつくような作品ばかりで、こんなにも深遠ありながら叙情豊か・身近で心惹き込まれる世界はそうそうはないと思います。
私にとっては、ブラームス・シューマンの室内楽や最後の3曲のピアノソナタとともに一生かけても付き合って行きたい曲ばかりです。
by なるたる (2007-09-18 00:02) 

みどりのこびとちゃん

歳をとると、室内楽のよさが、わかる とは、よく言われますよね。
うーん、私は、まだまだ、いろいろな音楽を聴きたいのです。
ただ、私も、最近、派手派手より、落ち着いた曲を好むかなあ・・・

ベートーベンの最後の三曲のピアノソナタは、絶品ですね
by みどりのこびとちゃん (2007-09-18 23:19) 

なるたる

ネットで検索をかけていたら、大フーガのピアノ4手版というCDがあったので注文しちゃいました。
ゲテモノ好きの血が騒いでしまいましたw。
聴いたら感想入れましょう。
by なるたる (2007-09-27 20:53) 

みどりのこびとちゃん

大フーガのピアノ版ですか!!!
できれば、独奏版がよかったなあ(笑)
あれっ、私も聞いてみたくなった。

最近、この大フーガの主題が時々、頭に鳴るのです。
by みどりのこびとちゃん (2007-09-28 23:57) 

なるたる

独奏版だと、原曲の音が多すぎるので無理のような気が…。
お買い上げになるんでしたら、こちらをどうぞ。

http://www.wakuwakudo.net/review_shinpu/new_4inst.html

上から75曲目あたりですので、下スクロールしてくださいね。
どうも2台のピアノ版らしいです。

抱き合わせが、メシアンの「アーメンの影」というゲンナリするような選曲ですw。
by なるたる (2007-09-29 01:36) 

みどりのこびとちゃん

うーん、どうしようかなあ
まずは、感想待っています。
by みどりのこびとちゃん (2007-09-29 08:11) 

なるたる

聴きましたよ、大フーガのピアノ版。
何と言うのか、まあ不思議な調べなんですが執りあえず聴けましたよ。
手の込んだピアノのための大規模なフーガと言う感じです。
原曲を知っているからかもしれないけど、本来の狂気・デモーニッシュさが
薄められて、凝ってはいるけどなんとなく場違いな感じがしました。
ピアノでは表現し切れない何かがある、パンチが足らない、何かが欠けている…。
そうして見るとやはり本来の弦楽四重奏の演奏が、あの狂気を齎す原因ではあるなと再確認しました。

だからこれは多分ピアノ音楽の限界なんだろうなぁ。
音の減衰するピアノの特性は、本来この曲の持つ「逝っちゃった」感を出すには明らかに力不足ですね、はっきり分りました。
全体的に原曲が意図した表現力が出せていない。
感情の上っ面をなぞって心地良いけど魂に響いて来ない、一言で言えばそんな感じです。

でもハンマークラヴィアの終楽章のフーガが、この大フーガのピアノ版だったらどんなんだろうと邪推したりもしてみましたよw。
これはこれで案外面白いかもしれないし、ハンマークラヴィアの評判を更に落して、現在でも今以上に理解不能の烙印を押されて謎に包まれた曲になっていたかも知れない。
初めからピアノ音楽として作られていると考えても、評価が分かれた曲となっていたでしょうね。
やっかいな音楽ではあります。

この感想を読んで、CDを買う、買わないを決めるのも、みどりのこびとさんの自由ですw。
by なるたる (2007-10-18 22:07) 

みどりのこびとちゃん

なるたるさん、早速のレビューありがとうございます。
うーん、多分、買って聴くことになるでしょう。
聴いたら感想いれます
by みどりのこびとちゃん (2007-10-20 18:17) 

みどりのこびとちゃん

こんなコメント、誰も見ないかもしれないけど、
大フーガのピアノ編曲版、年末に買って聴きました。
うーん、確かにピアノだと、場違いです。
多分、音が減衰するだけなので、軽くなるのかも
それに、なんか、演奏もぱっとしないし・・・

このCDではメシアンの方がよかったです(笑)
by みどりのこびとちゃん (2008-01-23 00:23) 

なるたる

ちゃんと見てますよ。
何時になったら聴いてもらえるのかと待ちくたびれましたよw。

結論として、この曲はベートーヴェン自身の編曲ながら作者が原曲で意図した破天荒な曲想が伝わらず、演奏効果も中途半端だったと言うことかと思います。
ベートーヴェンの勇み足だったのかな?
大フーガは原曲のまま弦楽四重奏で演奏されてこそ、なんでしょうね。
by なるたる (2008-01-23 21:48) 

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