組曲【ピアノのために】(ドビュッシー) [ドビュッシー]
さて、ドビュッシーのピアノ曲というと、作曲年代が後にいくほど、
独特の和声とピアノ書法が円熟味を増して、独自の世界を確立している。
というのが、通説だ。
だいたい、芸術家の作品は、
最初は、先人の模倣から入り、
それが、円熟味をおびた作品になり、
最後は、独自の世界の作品となる という場合が多い。
(もちろん、最初から最後まで変化無しだったり、一発屋(笑)だったりもあるが・・・)
(しかし、一発屋のことを芸術家とは、呼ばないだろう・・・)
ドビュッシー作曲の、組曲【ピアノのために】は、
わかりやすい初期のピアノ作品(アラベスク、月の光、夢、マズルカ、夜想曲 等)から、
独自の世界のピアノ作品である、版画、映像、そして、前奏曲集に続く、
丁度、過渡期に作曲されている。
と書くと、じゃあ、この曲は、中途半端な作風の出来の曲か、
とつっこみがはいりそうだが、
少なくとも私にとっては、そうではない。
古典的な様式の名を借りた、ドビュッシーの傑作だと思っている。
この組曲【ピアノのために】は全部で3つの楽章からなっている。
第1曲【前 奏 曲】・・・バッハの前奏曲を思わせる曲と書いてある解説も多いが、
これは、違うと思うなあ。
独特な和音の激しい連打と、きらめくグリッサンド。
これは、色彩感あふれる、かっこいいピアノ曲だ。
第2曲【サラバンド】・・・ゆっくりした曲。サラバンドなので、当然3/4拍子
昔のオルガン曲やクラブサン曲を思わせる曲って
いう解説もあるけど、そうかなあ。
純粋なドビュッシーのピアノ曲というイメージの方が強いと思う。
第3曲【トッカータ】・・・いかにもトッカータという曲
鍵盤上で、急速な16分音符が駆けめぐる。
【前奏曲】【サラバンド】【トッカータ】の組曲というイメージに騙されてはいけない。
ドビュッシーの音楽とバロック音楽との融合ではなく、
ドビュッシーは、自らの言葉で、【前奏曲】【サラバンド】【トッカータ】を書いたと思う。
そして、曲集の名前が、【ピアノのために】だ。
自分自身のピアノ曲に対して、よほど自信があったんだろうなあ。
この曲集には、イメージできる題名はない。
(最初は、あったらしいが・・・)
どうしても、【前奏曲】【サラバンド】【トッカータ】という
バロック時代の様式の名前につられるが、
是非、その先入観を捨てて聴いてもらいたい曲だ。
そこには、新しい形の【前奏曲】【サラバンド】【トッカータ】が見えてくる。
しかし、その後、みなさんご存じのように、
映像や前奏曲集のような、独自の世界にドビュッシーは、入っていくんだなあ・・・
こんばんは^^
なるほど「ピアノのために」っていうタイトルを
もういちどよく考えてみよう。
サラバンドって案外むずかしい。
by ゴーパ1号 (2007-03-29 00:16)
ゴーパ1号 さん、コメントありがとうございます。
「ピアノのために」と題名につけたら、
やっぱり、ピアノ音楽として自信がある作曲なんじゃないのかなあ。
と勝手に思っています。
サラバンドが続いたので、次もサラバンドか?
by みどりのこびとちゃん (2007-03-29 22:16)
ドビュッシーは、弾いていて気持ちがよいばかりでなく、
曲名も楽しくて好きです。
亜麻色の髪の乙女、葉づえを渡る鐘、雪が踊っている、
ゴリウォーグのケークウォークとか
曲名でとびついて、まだ上の数曲しか人前では弾けません。
by けんじ@大阪市淀川区 (2007-08-02 12:53)
けんじさんコメントありがとうございます。
ドビュッシーの題名は、確かにイメージするのに楽しいです。
特に、前奏曲集は・・・
by みどりのこびとちゃん (2007-08-02 22:04)