SSブログ

【3つの間奏曲 作品117】より第1曲(ブラームス) [ブラームス]

さて、今日は、ブラームスの晩年のピアノ曲の中から、
【3つの間奏曲 作品117】より第1曲 変ホ長調である。

ブラームスは、晩年になり、
作品116,117,118,119と続けてピアノの小曲集を作曲している。
これらのピアノ曲に対していろいろ論じられているが、
大きく2つの意見に分かれると思う。

その1:晩年になり、孤独な枯れた境地の作品で、簡素で素朴な音楽である。
    そう、水墨画のようなイメージである。
その2:枯れた音楽などではなく、音楽の組み立ては簡素そうだが、強固に組み立てられ、
    音楽の中には、若い情熱が潜んでいる。

うーん、随分対照的な意見だ。
みどりのこびとちゃんの意見は、このブログの最後に書くとして、
(おっと、期待はもたせるが、大した意見ではないですよ(笑))

早速、その晩年のピアノ曲でも、私の好きな一曲
【3つの間奏曲 作品117】より第1曲を聴いてみよう。

この曲は、冒頭に、子守歌の詩が書かれており、
子守歌のように、静かなそして、なつかしい感じの美しい曲想で始まる。
やさしい雰囲気の6/8拍子は、ゆりかごの子守歌も思い浮かべる。
しかし、一転して、中間部は、ブラームスらしい和声で、重々しい。
そして、最初の主題が戻るが、最初と同じではなく、
右手と左手に旋律が表れ、優しく伴奏が流れる。

ロマン派のピアノの子守歌の一曲としてかたずけるには、あまりにしのびがたい。
音楽としての内容がつまっている一曲である。

ところで、最初の話にもどろう。

みなさんは、この曲を聴いて、どう思われますか?

私は、この曲を聴く度に、
ブラームスの交響曲や協奏曲などの管弦楽曲の第二楽章(ゆっくりした楽章ですね)
を連想するのです。

そう枯れた水墨画のイメージではない。
そして、内面に若い情熱があるとも思えない。

どちらかというと、ブラームスの交響曲に通じる、強固な意志と、渋いロマンを感じる。
そう、この曲には、ブラームスの管弦楽の色をものすごく感じるのですよ。
誰か、管弦楽に編曲しないかなあ。
(リストやショパンのピアノ曲には、管弦楽の色は感じないのです。)
ブラームスの管弦楽として、十分に通用する。
この曲だけでなく、ブラームスの晩年のピアノ小品には、管弦楽の色を感じる
(実際、作品118の第6曲は、
  完成しなかった第5交響曲のある楽章に使われる予定だったそうだ。)

しかし、実際ねブラームスは、これをピアノ曲として発表している。
うーん、どうしてかなあ、そこにブラームス独自の美学があるのかもしれない。


nice!(0)  コメント(7) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 7

なるたる

ブラームスの晩年のピアノ曲はある意味彼の作品の中では鬼門です。
分るひとにしか分らない、分る人にしか分ってもらいたくない。
万人の共感を志向するようには作られていない。
つまりは一般受けしないのです。

若い頃の作品であるピアノソナタ等の幾つかの作品を除いて、OP79以降の作品は全て彼の円熟期以降の作曲であり、人生の甘いも酸いも噛み分けた人にしか分らない「大人の曲」のような気がします。

こういう曲を聴くと、ブラームスの本質はつくづく人生の黄昏にこそ相応しい、若い生命力溢れる人達には決して理解しえないような諦観と苦渋に満ち溢れた感情の支配する世界にこそあるのではないか、と信じたくなります。

最早若くもない私は、こう言ったブラームス特有の諦観に共感するところが最近多くなって来ました。
これは思いのほか甘美なものでもあるようです。

by なるたる (2008-03-16 02:41) 

みどりのこびとちゃん

そうですね。ブラームスの後期のピアノ曲は、
なるたるさんの言う通りだと思います。

私ごとですが、私は、最近、やっと、シューベルトのピアノソナタや、
ブラームスの後期のピアノや室内楽が聴けるようになってきました。
しかし、リストやショパンやラフマニノフなども好きな時は、あります。
なんだか、自分で、いったいなにが、感覚的、イメージ的に
一番合う音楽なのか、よくわからなくなってきている、お年頃です(笑)

歳は、なるたるさんと同じくらいなのかなあ・・・
by みどりのこびとちゃん (2008-03-16 23:29) 

なるたる

多分年齢的には私よりもう少し下ぐらいの感じが致します。

私は音楽は出来るだけ公平に、全時代・全ジャンルを偏りなく聴くのが理想と思っています。
全てのクラシック音楽を偏見なく眺められる視点に立ちたいです。
とは言え、それはあくまで理想であって、やはり好みの偏り、あるいははっきり嫌いな時代・ジャンル・作曲家が存在するのはどうしても避けられない。

私の場合ですと何度も触れたように、リスト・フランス音楽(特にドビュシー・ラヴェル以下の印象派)・近代、現代音楽には残酷なほど冷淡であるし、モーツァルトやマーラー、ロシア音楽も決して好みではありません(ブルッナーは好きです)。
交響曲や管弦楽曲も好き嫌いが激しい。

中核をなすのはドイツロマン派とその周辺(知られざる曲を含む)、およびバッハです。
ジャンルで言うとピアノ曲・チェロ曲・協奏曲・室内楽曲・合唱曲に対する嗜好は特に強い。

:決してみどりのこびとさんほどオールマイティではありませんw。
by なるたる (2008-03-17 03:10) 

なるたる

訂正。

ブルッナーは好きです → ブルックナーは好きです 
by なるたる (2008-03-17 03:15) 

みどりのこびとちゃん

うーん、確かに私は、クラッシック音楽に関して、
オールマイティ的な所は、あります。
しかし、裏を返せば、
広く浅くという感じなので、
もう少し、一人の作曲家を深く研究したいとも、思う時もありますね
by みどりのこびとちゃん (2008-03-17 22:00) 

なるたる

不躾ながら、秋の夜長(暑さがぶり返さないと良いですね)に「intermezzo op118-2」をお題としてリクエストしても宜しいでしょうか?

私の大好きな曲なのです。
by なるたる (2011-08-22 01:41) 

みどりのこびとちゃん

なるたるさん 了解です。
ブラームスの晩年の曲
秋より、今の時期の夜にちょうど いいかもしれません
早速、何人かのピアニストで聴いてみましょう
by みどりのこびとちゃん (2011-08-22 22:55) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。