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ピアノソナタ第32番(ベートーベン) [ベートーベン]

眠れない土曜の夜には、何の曲が似合うのだろう?
バッハのゴールドベルク変奏曲だろうか?
シューベルトの後期のピアノソナタだろうか?
等々、考えていたら、たいていの場合、そのうちに、眠くなり、
ショパンやリストの小品をちょっと聴いて寝てしまうのだが、
今日は、なぜか、ちっとも眠くならない。(笑)

よし、こんな夜は、大好きな音楽をゆっくり聴こう。
熱くて、濃いコーヒーを用意して、
譜面を取り出し、用意して、
CDプレーヤーにCDをセットして、
さて、私にとって、最高の時間の始まりだ。
(そうなのです。私は、アルコールより、音楽とコーヒーの方が好きなのです。)

曲は、ベートーベン作曲のピアノソナタ第30番から第32番までの最後の3曲である。
(ちなみに、この夜は、ポリーニのピアノのCDだあ)

さて、このベートーベンの最後の3曲のピアノソナタは、どれもこれもすばらしい。
第29番のハンマークラヴィアソナタは、ちょっと私には、難解だが、
第30番から第32番までの3曲を聴くと、無駄な音は、一つもなく感じられ、
感覚的に、
「ああ、ベートーベンの気持ちは、深いなあ、スケールが違うなあ、・・・。」
と、しみじみ思うのである。

さて、今日の音楽日記は、その中でも最後の第32番のピアノソナタである。

この曲、第一楽章と第二楽章の2つの楽章でできているが、
第一楽章は、
男性的な序奏。
力強く一回聴いたら忘れられない強固な感情のこもった主題。
そして、展開や和声は、素朴だが、すごく強い意志。

しかし、しかし、この曲の本当の圧巻は、ハ調調の第二楽章だと思う。
最初のアダージョのアリアを変奏していくのだが、
なんと言ったらいいのだろう、
特別にピアノ書法で画期的なことはなにもしていない。
(普通のハ長調のスケールが随所に出てくるし・・・)
リズムもまったく凝っていない。
そんなに素朴で、ありながら、すごくすごく深淵な感じがする。
この楽章を聴く度に、ピアノ書法は・・・等と言うのも無意味な気がする。
特に最後の部分は、無の境地になること請け合いである。

確かに、ベートーベンの最後のピアノソナタということを念頭に聴いてしまうので、
感傷に浸っているだけかもしれない。

残念ながら、私は、この第32番ピアノソナタは、
最初に聴いた時に、ベートーベンの最後のピアノソナタというのを知っていた。
だが、バッハのシャコンヌの音楽を初めて聴いた時は、なにも知らなかったのに
すごく感動したと同じように、
このピアノソナタは、それと同様な、なにかを持っていると信じたい。

しかし、土曜の夜は、ピアノソナタ第30番から第32番の3曲を聴いても、眠くならなかった。
まあ、譜面もあったので、続けて、
第29番のハンマークラヴィアソナタを譜面を見ながら聞いていたら、
突然、眠気がおそってきた。
(もちろん、第29番が駄作なのではありません。どうもこのソナタは、私と相性が悪いみたいで・・)


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なるたる

32番の第5変奏、左手の32分音符の上で右手が奏でるフイナーレの「賛歌」は私にとって究極の癒しの曲です。
私が32番を古今東西のあらゆるピアノ曲の中で最高位の地位につける理由はこの第5変奏があったればこそです。
巧みなピアニストが奏でるこの変奏を聴くと私は純粋な至福感に包まれます。
文字通り「ションベンちびりそう」になります。
by なるたる (2007-03-24 18:36) 

みどりのこびとちゃん

32番の第5変奏は、曲の最後の部分ですね。
確かにすばらしい音楽で、至高のひとときです。
(自分で弾くと、興ざめなのですが(笑))
これは、すばらしいピアニストの演奏にまかせましょう。

私は、最後の変奏もすきですが、
その最後の部分、譜面では、最後から4小節前の
ハ長調の純粋な下降音階のスケールが、特に好きなのです。
by みどりのこびとちゃん (2007-03-25 20:54) 

なるたる

何度も言うように、第2楽章は私にとって、全てのピアノ曲の中で至高の音楽・究極の響きなのです。

この楽章を見事に弾きこなし、聴く人全てに深い感動を与えることが、ピアノの弾けない私の、決して見果てぬ妄想なのですw。
by なるたる (2007-09-11 22:11) 

nishikunn

ベートーヴェンで検索していたらこのブログにつきました。私も同感です。32番のソナタを聞いたときは、ハンマ^クラヴィアのときより感動しましたね。
特に 2楽章 中間部のトリルから降りてきてくるところ、mire-mi-fasi- ベートーヴェンの人間的な哀しみを感じ 涙があふれそうになります。 しかし明るく突き進む ベートーヴェン。 だから ベートーヴェンが好きなわけです。いろいろ拝見させてください。
by nishikunn (2008-05-11 02:06) 

みどりのこびとちゃん

nishikunn さん、コメントありがとうございます。
32番のピアノソナタは、本当にすばらしい曲です。
第1楽章、第2楽章ともに、なんというか、
純粋な音楽の結晶という感じです。

さてさて、久々に、ゆっくり聴いてみよう。
この曲聴くと、夜寝れないのだなあ・・・
by みどりのこびとちゃん (2008-05-11 22:45) 

おくれてきたじいさん

ピアノソナタ32番最高です。私にとって全てのピアノ曲の中でこの曲以上のものはありません。特に第二楽章、出だしから限りなくやさしいどこか懐かしいメロディに涙があふれます。まさに天上の音楽です。そしてこれがさまざまに変化していく・・・とめどもなく自由に・・・これは人生をふり返る旅なんだろうなぁ・・・・・さまざまな苦い悲しい思い出も昇華されて美しく変わっていく・・・そして最後の感動的な結末、まさに筆舌に尽くし難い感動に満たされます。この音楽は奇跡ですね。とても人間業じゃない。神様からの人類へのプレゼントですね。
by おくれてきたじいさん (2010-11-21 02:13) 

みどりのこびとちゃん

おくれてきたじいさん さん コメントありがとうございます。
このピアノソナタ、同感です。おっしゃる通りです。
私は、第1楽章、第2楽章、ひっくるめて、大好きです。
この32番、弾く音楽より、聴く音楽ですね。

by みどりのこびとちゃん (2010-11-21 22:15) 

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