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ピアノソナタ ロ短調(リスト) [リスト]

メフィストフェレス(ファウストに出てくる悪魔ですね)が目の前に現れ
「ピアノ独奏曲のうち、なにか一曲、完璧に弾けるようにしてあげよう。」
と言ったら、あなたは、なんの曲を望みますか?

私の現在の答えは、
「後で魂をくれとか言わないなら、(あーあ、ちょっとなさけない)
 リストのロ短調ピアノソナタがいい」 である。

また、よくある質問だが、
「ピアノのある無人島(かなり無理な設定だな)に一曲、
 ピアノ独奏曲の譜面を持っていけるとしたらなんの曲か?」

私の現在の答えは、
「リストのロ短調ピアノソナタ」 である。

その理由は、最後まで読んでいただければわかると思う。

さて、この曲、クラッシックピアノを聴いたり、弾いたりしている人なら、
一度は、出会ったことのある有名曲だと思う。
それを裏付けるように、たいていの有名なピアニストは、レコードやCDに録音している。
しかし、有名曲だが、この曲ほど、好き嫌いの激しい曲もないかもしれない。
ちなみにこの曲の初演時の有名な話だか、
ハンスリックは、
「これほど、支離滅裂で大胆不敵な音楽は無い、この曲をほめる人はどうかしている。」
と批評し、
ワーグナーは、
「あらゆる概念を越えて美しく、気高く、美しい。」
と言っている。

ちなみに私のこの曲を聴いた感想は、
(初めて)・・・リストの曲にしては、わかりにくいなあ。派手でもないし・・・
(その後)・・・すごい曲だ、エネルギーが充ち満ちて、圧倒される
(その後)・・・第一主題はdimコードが耳につくし、主題の変形もちょっと・・・
(その後)・・・ひょっとして、ピアノでこれほど表現の多様性を持った曲はみあたらない
(その後)・・・あーあ、わからん。すごいんだが、よくわからん。
なのである。

この曲の初演時の二人の評論家の感想は、どちらもあっているのかもしれない。

この曲はものすごく、すごい曲だと思う。そして名曲だと確信している。
CDやレコードもかなりの数を聴いた。
しかし私自身、この曲は、こんな感じがいいなあ という漠然とした答えさえ
いまだに、見つかっていない。

なぜだろう

この曲は、リストの人間性そのものだと思う。
派手さもあり、恋愛もあり、宗教性もあり、前衛性もあり、古典性もあり、癒しもあり、
騙しもあり、技巧もあり、やさしさもあり、愛もあり、・・・・・
ダブルオクターブもあり、変奏曲もあり、フーガもあり、歌もあり、深淵な音もあり、
速弾きもあり、・・・・
こんなものをすべて含んだこの曲を表現したり、言い表せるのは、
それこそ、悪魔に頼まなければ、見果てぬ夢かもしれない。

ということで、見果てぬ夢なので、とことんこれからも探求したいのである。
ゆえに、最初の答えなのである。

最後に、いままで私が一番気に入っているこの曲の解釈がある。
音楽之友社の世界大音楽全集のリストピアノ曲集Ⅲの最後にある解釈である。
詳細は、避けるが、この曲をファウストソナタとして、解釈し、
各主題と変奏をファウスト、グレートヘン、メフィストとしている。
なかなか独特の解釈である。
興味のある人は、一読してもおもしろいと思う。


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なるたる

ブラームス大好き人間の私は、当然の事ながら彼の熱烈な擁護者だったハンスリックの意見に賛成です。
だけども、私はワーグナーも大好きなのです。

嫌いなのは唯リストのみですw。
私にはリストの最大傑作と言われるこの曲の何処が良いのか、全く理解できませんw。
by なるたる (2007-08-08 22:38) 

なるたる

追記。

最初の2つの質問には、私ならどちらも「べトーヴェンのピアノソナタ第32番」と答えます。
by なるたる (2007-08-08 22:44) 

みどりのこびとちゃん

やっと、リストのピアノソナタにコメントが付きました
(このころは、コメント欄を開放していなかったですからね)

この曲、私にとって不思議な曲なのです。
いくら聴いても飽きない。
しかし、傑作かと言われて、ここがそうだ、と、断定もできない。
でも、惚れてしまった曲なのです。

はたして、奥が深いのか? 表面だけのこけおどし曲なのか?

探求してみたいのです。
by みどりのこびとちゃん (2007-08-09 00:07) 

アラン・墨

はじめまして。
私も時々ハンマーフリューゲルを爪弾いております。
私の腕前はピアニストのマネゴトをする程度です。
「世界大音楽全集」が私のブログの検索欄にあり、ヒットして貴方のページを発見しました。
リストのソナタについては貴方の記事に全面的に同意いたします。私もこの曲はリストの中では一番気に入っている曲です。
貴方の圧倒的ピアノ曲のボキャブラにまいりました。
今後も時々お邪魔して勉強させていただきます。
by アラン・墨 (2010-06-27 10:11) 

みどりのこびとちゃん

アラン・墨さん、コメントありがとうございます。
私は、リストのピアノソナタは、いまだに、ときどき、新しい演奏があると、
聴きますが、その時々で、新しい発見がありますね。
いろいろとイメージがわく、スケールが大きい曲です。
私は、最初の一ページ、練習しましたよ(笑)
by みどりのこびとちゃん (2010-06-27 22:38) 

なるたる

リストのピアノソナタ大好きなみどりのこびとさんへ彼の弟子の一人、ドイツ人のロイプケ(Julius Reupke 1834-1858)の作曲した「ピアノソナタ」などは如何でしょうか。

リストのピアノソナタの亜流と言ってしまえばそれまでですが、師譲りの超絶技巧、スケールの大きさ(全曲演奏で40分以上)に加えて、リストとはまた違った独特の抒情性・悲劇性、悲愴感などが感じられて、私は結構気に入りました。

http://www.youtube.com/watch?v=qNMWu2_T94g (1/3)
http://www.youtube.com/watch?v=LIVfQh0m8VY&feature=related (2/3)
http://www.youtube.com/watch?v=wRP4F-a8zP0&feature=related (3/3)

そして「詩編94番によるオルガンソナタ」。
http://www.youtube.com/watch?v=1Wezlf8VMBE (1/3)
http://www.youtube.com/watch?v=SZEyKhf5q28&feature=related (2/3)
http://www.youtube.com/watch?v=3QsEdpsJuC4&feature=related (3/3)

こちらも20分を超す大曲で、19世紀ロマン派最大のオルガンソナタと言われているようです。
パート3のフーガの感情噴出は特に素晴らしいです。

以上2作品は作曲数の少ないロイプケの代表作とも言えるものです。
どちらも気に入ったので、CD買っちゃいましたw。

オマケの一曲。
ペラ(Ján Levoslav Bella 1843-1936)と言うスロヴァキア人の「ピアノソナタ 変ロ短調」。
http://www.youtube.com/watch?v=B-d3gWgtHWU

こちらは旋律が美しいのですぐ気に入りました。
この人のことはよく分かりません。
また、残念なことにyoutubeには第一楽章しかありません。
是非全曲聴いてみたいです。
http://www.youtube.com/watch?v=B-d3gWgtHWU
by なるたる (2011-12-17 18:27) 

なるたる

訂正。
ペラのピアノソナタダブってupしてしまいました。
後の部分は抹消してください。
by なるたる (2011-12-17 19:08) 

みどりのこびとちゃん

なるたるさん、紹介ありがとうございます。
ロイプケ?知りませんでした。
ちょっと聞きましたが、今度ゆっくり、聞いてみます。

しかし、インターネットの時代はすごいです。
楽譜を見ながらいろいろな未知の曲が聞けるとは・・・

フェインベルクのピアノソナタ
なんて、初めて聞きました
by みどりのこびとちゃん (2011-12-18 00:08) 

sarabande

ブラームスのピアノソナタ3番でコメントした者ですが、リストのピアノソナタで検索しても、1ページ目に挙がってきたので、つい読んでしまいました。1年ぐらい前に、FMで聴いた「なんだこのピアノ曲は!」と思った曲が、グリモーによるこのロ短調ピアノ曲でした。聴いている時は、リストの曲とはまったく思わず、20世紀の作曲家による、やや古典的な味付けをした、ピアノ独奏曲なのかと思っていましたが、そのあまりの深遠さ、耳が釘付けになっていました。愛の夢とか、ラ・カンパネラとかいう曲とはまったく違う、リストの一面、むしろ本気のリストを感じさせる曲です。
 グリモーの「レゾナンス」というアルバムを買えばいいのですが、これまで心酔しているポゴレリチが入れたアルバムを見つけてしまったので、それを最近ようやく買って聞いています。グリモーにはないような、瞑想的な独特の間のとりかたがよく、繰り返し聞いてしまいます。
 私も、政治的な放談が多く音楽は少ないですが、ブログをやりはじめておりますので、アドレス入れておきました。
by sarabande (2012-09-02 10:52) 

みどりのこびとちゃん

sarabandeさん、コメントありがとうございます。
私もポゴレリチのCD持っています。
スクリャービンと一緒のやつですよね。
これは、結構、独特どと思います
そうおっしゃる通り、独特の間がおもしろいし、
テンポも独特です。
リストのピアノソナタは、どんな演奏スタイルでも受けられる半面、
なかなか、まとめるには、手ごわい曲だと私は思っています。

関係ないけど、
「リスト ピアノソナタ」でグーグル検索すると、
確かに、このページ結構上位でした。
いい気になって
ついでに「プロコフィエフ ピアノソナタ第7番」とか、
「ベートーベン ピアノソナタ第32番」とかも
検索したら、やっぱり結構上位にありました。
なんでなのかなあ。
あんまり、役に立たないブログと思うけどなあ・・・・
それに、私、検索上位に
する努力や手間なんか、まったく全然してないのになあ・・・
by みどりのこびとちゃん (2012-09-02 22:05) 

sarabande

YouTubeにロ短調ソナタ ポゴレリチコンサート隠し撮り動画がありました。

Pogorelich-Franz Liszt Sonata in B minor(complete), Live 1993
http://www.youtube.com/watch?v=nc7A-oO1vKc&feature=related

昨年アップされているけど、もう時効だから大目にみられているので
しょうか。CDレコーディングも、このコンサートと同じ時期なんですが、
YouTubeの解説みると、このリサイタルの録音が、亡くなられたピアノ
の師匠でもあった奥さん(Alice Kerezade)の思い出ににささげられて
いるとのことです。
深く、深くうなずかれる所がありました。

このサイトは、かなりディープなピアノ音楽愛好家に幅広く、かつ健康的
に対応しているということで、検索上位に挙がっているんじゃないかと
思います。

by sarabande (2012-09-05 22:22) 

みどりのこびとちゃん

sarabandeさん、ポゴレリチの動画、聴きましたよ。
隠し撮りで、画像が時々なくなるけど(笑)
演奏は、ポゴレリチらしい演奏です。
遅かったり、速かったり、音がデットだと思っていたら、
時々ペダルを思いっきり・・・・・
でも、意志のこもった演奏だと思います。

by みどりのこびとちゃん (2012-09-07 00:47) 

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